【21.01.11】連載「Game Changer〜変化の時代の自己変革」by 福永健司氏 Vol.3


OWNピークを探せ



皆さんも、「ベンチマーク」というビジネス用語を聞いたことがあると思います。「水準、基準」といった意味ですが、私はいつも大いに参考にしています。ホテルであれば、利益率や人件費率、はたまたブランドの優位性などの是々非々などにも利用します。またベンチマークでなくとも、例えば予算や前年の数値などの比較対象がないと、損益計算書を始めとした財務諸表をレヴューする際も平面的な見方や視野になりがちです。物事を立体的に見る、多面的に検証するためにも「ベンチマークの数値」は有用なのです。

しかしこれが個人のことになると、他人の知見は参考にはなりますが、そもそも生まれも育ちも違う他者との比較は余り意味がないものになります。

それでは個人の成長を考察の考察においては、何と比較するのが相応しいでしょうか。

私は、「テメーの人生はテメーで歩け」という矢沢永吉さんと同じ発想です。つまり、「自分自身」が適切と考えます。問題はいつの自身と比較するのがいいのかです。

私の答えは「OWNピーク(自身の絶頂期)」です。

では、あなたのピークはいつだったのでしょうか?


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眼をつむって頭の中でピークだった時を探るのも一考です。また、例えば「横軸に年齢、縦軸に自身の幸福度やパフォーマンス、出来事」といったグラフを描いて、折れ線で示してみる・・・、そんな自分史を見ながらピークを検証するのも一つの方法かと思います。人によっては若い時に低空飛行だったのが高校入学と同時に最初のピークがきて、次は社会人3年目に次のピーク、そして結婚後に3回目のピークというような曲線を描く方もいるでしょう。

比較できるピークが見当たらないという方は「As-is (現状/今のあなた)」と「To-be(理想/なりたいあなた)」を考えてみてください。まずは現状の自分の立ち位置、持ち手の確認(As-is)と“こうありたい”“こうなりたい”という自分なりの理想や目標(To-be)を認識します。

その理想や目標こそがなりたい自分であり仮想のOWNピークとなります。





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勝負事には勝つにも負けるにも理由があります。そして物事には道理があります。すなわちピークと見込まれた時期には何等かの理由があったはず(あるはず)です。

もちろんご縁や幸運に恵まれたという事もあるでしょうが、それではなぜご縁や幸運に恵まれたのでしょうか。あなたの気持ちがポジティブだったり、今より好奇心旺盛で行動力があったりしたのではないでしょうか、あるいは失敗をおそれず果敢に攻めの姿勢を貫いてはいませんでしたか。

もしそうであれば、その時の情熱や勇気はどこにいってしまったのでしょうか。

他人、環境、時代や年齢のせいにするのは簡単ですが、解決や反攻のきっかけにはなりません。


今後を自身最大のピークにする

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いま、人生のどのステージに立っているのか。それは人それぞれだと思います。ピーク時期が明確になったとしても、現状と比較すると体力や記憶力、持久力など肉体は衰えをみせているかもしれません。

しかしながら、経験、学習、許容力などの増加により単純比較はできないまでも、失ったものや衰えを補いつつ、反攻、すなわち「攻めの気持ち」や行動に転じることはできないでしょうか。

こんな名言があります。

「年を重ねただけで人は老いない。理想を失った時に人は初めて老いる」


理想と行動力さえあれば、今からでも人生最大のピークを作ることができます(と個人的には信じています)。





異種格闘技戦を戦う



今のあなたは突然変異でなったあなたではなく、この世に生を受けてから良いも悪いも含めて様々な経験をし、泣き、笑い、怒り、絶望し、戦ったという結果としての現在だと思います。

明日は必ず来るものではないかもしれませんが、明日は今日の延長ではあります。
すなわち、今日を大事にし、考え、行動に移さない限り、広義な意味での前進はありません。

心意気は「今が全てさ、いつだって」ということになります。

疫病と共にVUCA(V=Volatility/変動性(激動)、U= Uncertainty/不確実性、C=Complexity/複雑性、A=Ambiguity/曖昧性(不透明))が顕在化した今、過去と同じやり方、考え方では覚束ない情勢ではあります。しかしながら、今のあなたを急に違うあなたに変えることも時間を要します。「back-to-basics(基本にかえる)」で柔軟に対応しながらあるべき姿に近づくべきだと思います。

スキルも当然大事ですが、精神力や柔軟性、コミュニケーション能力が必要なのは不変であり、言葉(言語でもあり、伝える力)、数値、マーケティング、ITリテラシーは、あなたの持つべき武器であることは間違いありません。

異種格闘技戦、「バリトゥードゥ(ポルトガル語で“何でもあり”)」の様相を見せる現在のホテルビジネスですが、戦いぬく上では自分自身の進化が問われます。

今までとは違う「チャレンジングな年」ですが、時間は有限であり、2021年は人生に一度しかなく、やり直しはききません。

今年、OWNピークを目指しませんか?





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