グローバル・スタンダード化が急務。(株)宿屋大学の設立に多いに期待する

【プロフィール】 宿屋大学の代表である近藤寛和の著書『和魂米才のホテルマネジメント』の主人公。1942年生まれ。成城大学経済学部卒業後、帝国ホテル、ベルビューパレスホテル(スイス)、ペニンシュラホテル(香港)などを経て、シアトル・マリオット、サンディエゴ・マリオットで総料理長を歴任。マリオット・インターナショナル・インコーポレーテッド日本・韓国担当リージョナル・マーケット・オペレーション部長、岐阜ルネッサンスホテル総支配人代行、名古屋マリオットホテル料飲部長、札幌ルネッサンスホテル総支配人代行、バンコクやワイキキのマリオットのオペレーション・ディレクターなどを歴任。2007年より、横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ取締役オペレーション上級責任者に就任し、2008年8月まで務める。

飯島幸親
プロシェフ・ユニバーサル 代表

世界的な激動の時代、グローバル化が加速している時代です。日本も、ホスピタリティ業界も変化が必要です。日本のホスピタリティ業界をグローバルスタンダードにするという志によって立ち上げたビジネススクール「宿屋大学」の活動に大きな期待をしたいと思います。

学びの機会、情報交換、モーチベーション、新たな出会い、独立の精神、リーダーシップとこれからのグローバル・プレーヤーの誕生が楽しみです。

近藤氏は長年この業界を見続けてきましたが、この業界が心から好きなのです。

彼自身の深い思いから来る信念と明確な目標を掲げての(株)宿屋大学設立は、国が観光人材育成に力を入れる中、タイミングの良い決断であり、戦略を伴ったスピーディな行動であります。

「遂にやるべき人が立ち上がった」のです。

“おもてなしの心をお届けする”“ 世界に誇る品質とサービス”は、日本のすばらしい伝統でもありました。しかし、あまりにお客様サイドにこだわり過ぎて全体像を見失しない、仕事の基本や、「当たり前の事を当り前に」の提供に“ばらつき”が出ているのが現状です。

また、人間は皆平等、公平であり、責任や権利なども明確な線引きが社会には絶対に必要なのですが、日本ではそのへんもあいまいなままです。海外では当たり前なのですが、サービスを提供するためには必ずコストが発生し、決して“タダではない”ということを、私たちももっと認識しなければなりません。

サービス側が“常に腰を低くへつらいの態度”をとるのは日本だけです。サービス側とお客様に上下関係はありません。その上で、サービス側はプロとしてのプライドを持ち、約束されたサービスを適切に提供することが不可欠なのです。

さらに業界として改善されるべき点は、過度な職場での上下関係、差別の解消、働き方の見直し、職場環境の改善、人材育成の強化、生産性の向上、価値と価格の均衡、そして企業としての適正利益などを含めてバランスよく実行することが大切です。

まずは最高責任者で決定権限のあるホテル経営のトップ自らが、率先してグローバル時代に対応するオープンな企業環境と人材育成に取り組むことです。

残念ながら、現状は次世代リーダーが育つ環境がまったくありません。

若年労働層が激減し、その上、恵まれた環境で比較的安穏に育った若者を一人前のサービススタッフに育てる手法は、従来とは変えていかなければなりません。マニュアルも、もっと分かりやすくし、トレーニング手法も改善、改革が必要でしょう。

これは政府の問題ですが、他の先進国のように外国人労働の導入を真剣に検討すべきです。今の日本は、日本の若い人たちが夢を抱けない社会になってしまったという大問題を真剣に考え、実際に政策を打ち出す時期に来ていると思います。

近藤氏をリーダーとする(株)宿屋大学が企業としての成功と益々のご発展を大いに期待致します。

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