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【20.05.06】コロナ禍を宿泊業界人はどう受け止めているのか
コロナ禍における宿泊業界の皆様へのアンケート
宿屋大学では、ホテル・旅館業界のみなさまが、緊急事態宣言下で、どのようにお過ごしか、何を感じ、どうされているのかを知りたく、アンケート調査を実施しました。
実施期間は、2020年5月1〜6日。
https://bit.ly/3f2Cm1H
宿屋大学のメールマガジンとFacebookを活用し、140人から回答を得ました。
回答者は、30代後半以上、経営者層とマネジメント層がほとんどです。
まずは、今感じているお気持ちを聞きました。
最も多かった回答は、「変化をチャンスにするという前向きな気持ちになった」で、31.4%の方、およそ三人に一人は、「この変化をチャンスは変わる」もしくは「チャンスに変えてやる」という前向きな想いを抱いていることが分かりました。
続いて、「時間が増えたので普段できない部屋の片づけや、読書や映画といったインプット、家でできる趣味を楽しめるという前向きな気持ちになった」が、27.1%いらっしゃいました。「不安になることが増えた」と回答した人も18.6%いらっしゃいますが、宿泊業界の上層部にいる方は、このような観光・宿泊業界にとって戦後最大級に厳しい逆境に直面していてもポジティブに考えられる人が多いことが分かります。
収入の変化予測を聞きました。
最も多かったのは、「1〜3割くらい減りそう」という回答で、42.9%。5人に2人はこのくらい減るだろうと予測しています。
一方で、「ほとんど変わらないだろう」と回答している人も、20.7%(約5人に1人)います。電鉄系ホテル企業、大学教員の方が、このように回答される傾向がありました。
また、「3割から半分弱くらい減りそう」が14.3%、「半分から8割弱減りそう」も、10.7%、つまり10人に1人が回答されています。
ホテルの営業状況を聞きました。
過半数の52%が休業、36%が営業を続行しています。
チェーンホテル、外資系ホテル、不動産系、独立系などでこの判断に傾向があるのではないかと分析したところ、主だった傾向はみられませんでした。経営母体よりは、各プロパティの事情やマーケットニーズで休業するかどうかを判断しているようです。
そのほかは、「感染者を受け入れている」「医療従事者を受け入れている」「予約に応じて明けている」「一部営業」など、まちまちでした。
コロナ禍の波を最も大きくかぶっている業界の一つが観光・宿泊業界ですが、その業界のなかにあって「転職」の意向を聞いてみました。
約11%の方(10人に1人)が転職を検討しており、そのと中で「他業界に行くことを検討」と回答した人は、62.5%、つまり3人に2人は、宿泊業界から離れようと考えているようです。
ちなみに、某大学の観光学部の学生にも「観光業界に行くことについて、迷いますか、迷わず進みますか?」と聞いたところ、答えは半々でした。
「コロナ禍収束は、いつ頃だと推測しますか?」の回答の答えで最も多かったのは、「年末までかかる」で、25%、4人に1人は、こう推測しています。続いて、6月末(15.7%)、7月末(14.3%)、8月末(12.1%)と多い結果となりました。
7つ目の質問で、「いま、不安に感じていることはなんですか?」という問いかけをして自由記述してもらいました(97人が回答)。
「資金繰り、会社の倒産が心配」17人
「いつまで続くのかが分からない」17人
「自分の収入減」11人
「自分や社員、家族の感染リスク」10人
「モチベーションの維持」7人
「宿泊業界の先行き」6人
「経済の先行き」4人
「ホテルの在り方の変化についていけるか」3人
そのほかの意見としては、
●一時的に収束しても終息することはなく、インフルエンザの様に日常的にワクチン接種が可能になって終息になりえると思いう。また、今後の宿泊施設はそれまでの間、施設の対策(客室の空気循環や、湿度等、個室毎に調整可能等)が整備されていることが求められる。
●緊急事態宣言中も日本国中我慢のできない人がこれほど多いことに驚いたが、その為、解除となった後も注意が必要であり、今後以前様に戻ることは無く、どのように変化するか不安。
●コロナ第二波がこない事
●コロナ禍収束後のインバウンド需要の動向
●人間関係
●政府だけでなく、自治体や住民のヒステリックな行動
●2020度新入社員の育成・2021年度・2020年度採用に関して。
●不安ではありませんが、会社で早期退職を募らないかを期待しています。
●営業再開後のオペレーションとマーケティング方法
●観光・旅行消費の回復
●ホテルの営業、新規開業継続の可否
●貧困、差別、環境汚染といった不変の大問題がコロナにより忘れられてしまう事
などのご意見や想いを寄せていただきました。
8つ目の質問では、「自粛期間中、ご自宅で何をされているか」を聞きました。
読書、仕事、勉強、映画鑑賞の順で回答数が多い結果となりました。無為の時間の浪費をしないようにされていることが分かります。
オンラインコミュニケーションについても質問しました。
巷では「オン飲み(オンライン飲み会)」が流行っていますが、宿泊業界のなかではまだまだ浸透していないようです。
その一方で、オンラインによる研修やセミナーは、3人に2人は経験があり、「すでに10回以上受けた経験がある」人は、5%いらっしゃいました。
オンラインコミュニケーションに使い慣れているかどうかに関しては、格差が大きいようです。
アフターコロナに、どんな取り組みが必要か?
最後に、次のような質問をしました。
「コロナ禍収束後、ホテルや旅館が健全経営を続けるために、政府、自治体、業界団体、企業、個人は、どのような取り組みが必要だと考えますか?(新しいビジネスの創造、感染防止ガイドラインづくり、ローコストオペレーションなどなど、多方面で考えられること)」
こちらにも、さまざまなご意見を頂戴しました。
【政府・自治体】
●政府:海外旅客受け入れ開始時の規制、基準、リスク等検討必要、なし崩しにしない。企業:今後考えられる多方面に渡るリスク管理。一つには、多岐に渡る感染防止ガイドラインの作成と速やかな実施。
●政府や行政に期待するのとは別に会社の垣根を越えてホテル・飲食店が連携して業界自体にゲスト・従業員共にひとが戻ってくる取り組みが重要
●観光地への誘致キャンペーン。特別休暇の付与で、観光を増やす(5人)
●旅行者向け、施設向けのガイドラインがあると世論が揃いやすいのでは。
●政府から個人への旅行資金援助
●購買意欲促進、給料アップのための助成金
●国、自治体、業界団体には、休業要請対象となる宿泊施設の要件設定とそれ以外施設を明確に分け、宿泊施設を基本的に休業要請対象とすること。宿泊施設が営業していれば人の移動、特に観光地への移動は抑える事ができない。
●利用者、ホテルオペレーター、建物所有者の間の適正な収益配分のガイドラインの作成。供給過剰にならないような出店規制。
●宿泊税の減免、固定資産税の減免、旅館業法の見直し
●劣後ローン、資本増強支援など
●旅館業法の改正により宿泊拒否できるようにしてほしい(2人)
●感染抑止と経済の両立、コロナ復活のガイドラインの策定、雇用の維持のための施策、需要活性化
●コロナに限らず、災害時や非常時に被災者等の受け入れ先として当てにされる割には補償が弱いと感じる。
●粗利補償又は固定費の補償等、救済措置
●政府はキャッシュレスを含めたオンラインでのアクションを加速させるべきと思います。この点で台湾や韓国に大きく遅れを取ったのは明らかです。本当は給付金もキャッシュレスのキャンペーンにできればベストだったのでしょう。 飲食含めホテルは、衛生や安全管理の考え方が更に重要視されることになると思います。例えば『ブッフェ形式』は衛生的なリスクを排除するのは難しいですし、ロスなどを考えるとサステナブルの考えにも反します(一方でローコストオペレーションという点ではサステナブルなのかもしれませんが)。
●観光は平和産業なので、少しでも不安要素が残っていたら動きません。ワクチンの早期開発などで免疫力を作り、インフルエンザと同じ病気感覚になることが必要だと思います。
●政府は、未曾有の危機なのだから、法律に縛られなくても良いと思うが、2ヶ月ロックダウンしてしまえば、一気に全てが回復すると思う。各役所は政府よりスピーディーに丁寧に各業界の要望を吸い取り実行して欲しい。まずは、動け!
●対感染症衛生基準
●日本全国あげて、ウィルスに対する完璧な対応対策をたて、日本国民だけではなく、諸外国のゲストにも安心して宿泊、飲食、宴会を楽しんでいただく環境を作ることが必要。そのためには、ウィルスに対する正確な情報の把握と対処方法、対策を立てる必要がある。
【業界・企業】
●新しいビジネスの創造
●数を取って成長するビジネスモデルからより強いコト消費を促進する必要。自治体と連携してローカルの魅力を再発見し、それをプロモーションしていく取組。会議会場は3密そのものなので、集まることを前提としないビジネスを創造していく必要があると思います。
●感染防止ガイドラインづくり
●宴会やレストランの利用の安全性の強調と自由に使える連休の設定
@ポートフォリオ分散経営(集客、立地、運営形態)Aキャッシュバランス経営(企業の現預金を売上1年から2年分積んでおく経営)
●接触機会の軽減
●雇用の確保と、オリンピックに向けての改革。また、自動チェック機などの推奨をした場合、感染リスク軽減の見直しなど。
●宿泊業について、学ぶ取り組み
●宿泊施設等の共同仕入れや人員の融通
●休業期間中も収益が得られるような、宿泊以外でのビジネスモデルの創造
●サービスの一部非接触化。IT化。
●清掃・消毒の新基準
●ローコストオペレーション
●公共財としての社会的インフラ的視点からの役割について考慮した行動指針の策定。
●ホテルを中心とした装置産業の抜本的な営業方法の見直し
●オンラインではなく、人が集まる場(結婚式・会議・学会など)の意義の再構築。事業規模縮小、人員整理。
●感染防止ガイドラインを業界全体で運用する
●マルチタスク
●ワークシェアリング 医療現場のフォロー
●CRMを大事にする事。目先の利益にとらわれないようにしたい。
●新しい宿泊ビジネスの創造、ローコストオペレーション、感染防止ガイドライン
●1.財務戦略。2.運転資金の確保の方法。3.マルチタスクとローコストオペレーションの具体的な方法
●オンライン活用で落ち込むビジネス利用、ホテル供給過多などで値下げ競争に走る。稼働率重視から単価重視の経営にオーナー側も含め変革が必要
●サービス価値と価格のバランス見直し、すなわち(低コストーそこそこレベル−低価格/高コスト−ハイレベル−高価格)を利用する側と提供する側各々のコンセンサス形成。それに基づく事業採算性の引き上げ。
●各企業がお金を使い、経済を回す事。
●感染防止ガイドラインの設定。価格競争になり、衛生的に良くないことをやってしまって業界の信用を失いたくない。一時的な税制の変更などは行って欲しいが、後々しっかりと企業が還元することを前提で良いと思うので、今は大きな
●施設独自の積立、騒動後始まった食事のデリバリーなどの宿をもっと生活の一部だと認識してもらえるサービス
●出張、観光は減ると思います。その中で企業がどう利益を確保するか、新しいビジネスの創出とローコストでの運営。ただし、具体的にはまだ見えません。
●社会貢献。企業(ホテル)が利益を生み出すためだけのものではなく、その地域にとって必要不可欠であるべきだと思うから。
●宿泊施設の新たな利用目的の創造
●安全なホテルライフの過ごし方
●他施設との差別化になる個性を磨く
●企業化の推進
●宿泊施設数の淘汰(需要と供給がアンバランスにならないようなKPIの策定)、ホテル・旅館スタッフの賃金UP(ITでは叶わないホスピタリティを提供する人財の対価として見直し)、地域観光活性化(宿泊業のみで集客ではなく、地域一体が面となって観光立国を実現させるあらゆる取組とネットワークの構築)、医療施設としても活用できる設計・設備の見直し
●ある程度経済活動が安定するまでの行政のフォロー。コロナ禍によりリモートワークやUber eatsなど新しいビジネス、慣習が起こった。収束後は以前とは違った経済の流れになるかもしれない。その流れを見極めて対応していくことではないでしょうか。
●ホテルから外へ出るサービス
●組織が大きくなるとリスク対応に要する時間が掛かりすぎる! リスクに素早く且つ柔軟に対応できる組織作り、人材育成、広域連携。
●業界団体からNHK受信料、公共料金基本料の減免要請により少しでも固定費の削減を図る。
●どんぶり勘定でなく、計数に基づく経営
●業界団体はどのような動きにしてくれたのか? もっと積極的に情報を発信していただきたいと思います。独立系のホテルや旅館の経営者の共通課題は人件費の負担ですが、雇用調整助成金の上限を増やさなければ、雇用の維持も難しいと思います。
●効率的で生産性の高い運営方法の確立
●政府・自治体には、通常に戻るまでの経済的支援策。コロナ禍収束後は業界も大きく変動をしていくと考えられるので、そこに対しての対策に関する情報提供と業界全体での誘客活動が必要と考えます。また、企業としても、今までとは異なる組織の改革をいち早く行っていく必要があると考えます。
●施設間の情報共有、おもろいネットワークづくり、政府との気軽なパイプ(行政当事者とのLINEグループ等で気軽な意見交換が出来る場など)
●リスクマネジメントの強化、ホテルとしてはマルチタスクの導入、迅速な意思決定(全てにおいて)、個人として:スキルアップや情報収集能力の強化など
●完全な収束はしないと思う。必要なのは三密を避けた滞在をしっかりと作り上げることと、世間の風評被害からホテルを守ること。感染対策をしっかりやっているホテルにお墨付きを与える中立の期間が必要。
●原点に戻り、ウィルス対策などを含め安心安全を謳える環境作り
経済活動の再生と活性化【最優先】/再度の感染拡大を防ぐ/人の移動の正常化と喚起/マイクロツーリズムの喚起/社会の基本システム(ヘルスケア、ビジネス、教育、飲食、教育、行政)の復旧と運用/インフラ機能を止めずにしっかり回す/ 経済的ダメージを受けた企業と家庭の支援/社
●IT環境の一層の整備
●お客様との接点など結びつきを強化する事が重要
●衛生基準の見直し。対面しない接客。
●衛生管理の強化と緊急時における意思決定の迅速化
●社員の副業解禁。宿泊施設と自治体の連携したイベントなど。
●従来のビジネスモデル、サービス形態、販売チャネル、顧客との接点など、全てがかわることを前提に、考え抜くことと具体的なアクションをとること。
●せめて同業界での横断的なセフティーネット構築(例えば、供託金制度をつくり救済金として充当する準備)
●業界再編
以上、大変価値あるご意見をたくさんいただきました。
本当にありがとうございました。
頂いたご意見が、業界全体や各企業の今後の行動指針策定に役立つことを願います。