【20.01.12】連載「ホテルユニフォーム会計のトリセツ」H

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ホテルユニフォーム会計のトリセツ 目次

 ➀売上?収入?所得?売上にまつわる話
 A費用ってひとつじゃないの?
 ➂やっぱりこれが肝心…利益
 C損益計算書にだまされるな
 Dホテルユニフォーム会計の正体
 Eホテルユニフォーム会計を使っていかに暴れるか?
 Fホテルユニフォーム会計の導入
★G数値はビジネスをする上での相棒である
 Hファイナンシャルコントローラーの視点
 Iファイナンシャルコントローラーの役割

 ※本ブログの回数と目次の回数がずれていますが、ブログでは、【19.03.19】に始めたときのご案内を第一回とカウントしているためです。




今コラムも残すところ3回となります。

ここからは過去7回の復習を兼ねながら、数値を“上手に”利用する考え方をご紹介します。変化の激しい現在のホテルビジネスを生き抜くヒントになることをお伝えします。

ホテル業界の歴史を大まかに振り返ると、昭和の時代のホテルは、運輸、建設、不動産などの業界が金主となって支えられ、大箱のホテル(フルサービス)や複合リゾートホテルが全盛となった時代でした。バブル経済の後押しがあり、その時代ならでは問題はあったものの、比較的、平穏な時代でした。

その後、平成の時代に突入すると、世はバブル経済が崩壊、ホテル業界も打撃を被ります。そんな環境下に外資系御三家と言われたホテル群が開業し、既存の日系ホテルと群雄割拠の時代を迎えることになります。バブル経済崩壊の余波がボディーブローのように日本経済を蝕み、その影響は御多分にもれずホテル業界にも押し寄せます。その最中に財務的にホテル業界を違った意味で支えたのが外資系ファンド会社でした。ホテルやリゾートを金融商品として取り扱い、M&A (売却、買収)が盛んになります。そしてリーマンショックといわれた金融危機や東日本大震災を乗り越えてきました。

その後、IT活用の発展と攻勢、インバウンドビジネスの活況と相成り、ホテル事業は蘇り、民泊などの新事業が現れるも、様々な業種業態による空前絶後のホテル開発へと続きます。

令和の時代を迎えた今、過去に類を見ないホテル開発の勢いは止まらず、しかしながら複数の有識者からはその数は供給過多と声高々に叫ばれるようになっています。一方で人員不足が目に見えて顕著となり、運営側も未だかつて経験したことのない新たな局面に入りつつあります。



答えのない問いを考え続けるのが我々の責務・使命

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私たちが生きているのはホスピタリティ業界であり、何より求められるのはヒューマンタッチが優先される世界でもあります。

“相手の要望に寄り添う、あるいはそれ以上のものを提供する”
“一生に一度しかない、この瞬間と機会に真摯に対応する”
“非日常の演出と華やかな空間を黒子として演出する”

というホスピタリティや、それに伴う労力は、ホテルというビジネスならではの醍醐味です。

反面、ビジネスである以上、収支を無視することはできず、必要とされるビジネスの結果を出していかなければなりません。

「利益がありきか、顧客満足度がありきか?」は、つねに議論される「問い」ではありますが、つまるところこの「問い」のみならず、私たちは答えのない世界を生きているのです。これはいつの時代も同じであり、答えがないところに答えを探しに行く(最適解を探す)のが我々の責務・使命かとも思います。

現実社会は矛盾を抱えていますので、答えを探すといっても簡単ではないのですが、何らかのゴールや目標をそれと置き換えるという方法もあります。それを“答え”と呼ぶには反論もあるとは思いますが、チームを率い、説明責任もある立場のホテリエである皆さんにおかれては、ゴールや目標を数値化し、これをドライバーにしてはいかがでしょうか。これが、今回の私の提案です。





数値をあなたのビジネスパートナーにしてみては?

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ホテルは世界中からお客さまが来るインターナショナルな環境ですし、近年は人手不足により、多く外国人スタッフがホテルの現場で働いています。言語、文化、宗教そして信条が違う複数の人間が、同じ職場で同じ目標にむかって動いていくのですから、そこには万人が理解を容易にするものが必要です。

“数値”は、その要素を満たしています。そして数値には年齢も関係ありません。部下が年上だとやりづらいという声をたまに聞きます。私情を挟まない数値により、そうした障害を突破する一助にもなりえます。

数値を味方につけ、数値を自身のパートナーとして牽引してみませんか。

個人的には魂やプライド、そして情緒に訴えることは嫌いではありません。根っからの文系・体育会系ですから、むしろそうしたやりかたの方が好きなのですが、数値の求心力については経験的に推薦できるのです。


数値に置き換えられないものはない

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ついつい数値、数値というと、経理的な要素だけに考えを奪われがちですが、ここで申し上げているのは、GOPや利益率、稼働率や客室平均単価、レストランの利用数などの運営的な数値だけの話ではありません。

例えば、営業マンであれば、クライアントへの訪問回数、フロントスタッフであればゲストをお名前(xx様というように)で呼んだ回数等、それが広義にホテルの評判やスタッフのモチベーションを高め、そして究極的には利益や売上に結びつけば最高です。

端的な例としては、顧客満足度、従業員満足度などのスコアを実際に集めて数値化するものから、食品衛生、安全管理、経理内部統制など項目を内部で決めて点数化し、どこまで遵守しているかの自助努力を促すものなど、挙げればきりがありません。


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そのほか、皆さんと皆さんのチームでこうした目標をもって進めたいというものがあれば話し合って決めてみてください。

数値に置き換えられないものはないと思います。

決めた目標をベースに半年に一度、達成の可否とそれに伴いどのような心掛け、どのような行動をとったかなどを振り返れば、それがコーチングやメンタリングの基になりコミュニケーションのツール、そして機会となります。

1日÷30日=0.033です。これは1日に0.033進めていないと1ヶ月の目標を達成できないという簡単な公式です。これを意識してもらうだけでも日々の動きや考えが変わるスタッフもいます。

数値のみでは士気が上がらない、ホテルの置かれている環境下が数値のみだと乗り切れない、理解が出来ないなど、様々な状態があると思います。

数値のみに固執せよというのがメッセージではありませんので「数値」と「気持ち」に訴える両方のバランスをとりながら進められてください。

ビジネスや経営をドライブする比喩として「ロマンとそろばん」や「アートとサイエンス」などがあります。どちらも重要で自転車の両輪のようなものですが数値をそろばん、サイエンスと考えていただきうまく利用してみてください。



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