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【19.04.30】連載「お金をかけずに今すぐできるWEB集客」vol.12 最終回
【短期収益編】≪第12回 = 最終回 レベニューコントロール = リストリクション(販売制限)≫
宿屋大学メールマガジン読者の皆々様へ
(株) 宿援隊 & (株) 宿 力 の石井太樹です。第12回(最終回)のメールマガジンを配信させていただきます。
前回まで、主に、OTA露出、メタサーチ対策、自社ホームページ(PC&スマートフォン)露出についてお伝えしましたが、今回は、短期収益を最大化するための「レベニューコントロール = リストリクション(販売制限)」 について述べたいと思います。
言うまでもなく、ホテル・旅館は典型的な『キャパシティビジネス』 → 100室のホテルは最大でも100組のお客様しか受け入れることができません。このことは多くの方が理解しています。
ところが、101室目、102室目、103室目、110室目、150室目、200室目、300室目・・・のお客様をお断りしている(蹴飛ばしている?)ことを認識している方は少ないのではないでしょうか?
例)結果として満室の日、@5,000のお客様を取ることにより、@10,000のお客様をお断りしている可能性。
電話予約の場合はまだ「申し訳ございません。その日は満室でお部屋をご用意することができません。」などと、“断ってる感” が多少はありますが、WEB予約の場合、“断ってる感” はありませんよね?
※ホテル・旅館が、“今日の空室(在庫)を明日に持ち越せない” = 『キャパシティビジネス』なのに対し、メーカーは『非キャパシティビジネス』です。今日売れ残った商品を(生ものなどを除き)明日売ることができますし、ビールメーカーなどは季節による(需要予測による)増減産が可能です。もし、ホテル・旅館が、100室の部屋を「繁忙期だから200室に」、「閑散期だから30室に」 などとできたら、こんな楽で儲かる商売はありません。でも、そんなことできませんよね?
そんな販売個数(室数)の上限が決まっている『キャパシティビジネス』において、売上・利益を最大化する手法が、俗にいう『レベニューマネジメンント』なのですが、昨今、(某チェーンホテルのおかげで???)その『レベニューマネジメント』が“価格の上げ下げ” あるいは “価格の吊り上げ” と理解されてしまっている節がありますので、ここでは『レベニューマネジメント』を❶価格コントロール と ❷リストリクション(販売制限) の2つに分けて語りたいと思います。
❶価格コントロール
業界内で『レベニューマネジメント』あるいは『イールドマネジメント』と呼ばれていたりします。(正確には後述する❷リストリクションも含めて『レベニューマネジメント』なのですが・・・)
これは、
◆需要予測により販売価格を設定
◆需要予測より実際の予約入込み(オンハンド)がいい場合、販売価格を上げていく
※実作業としては、サイトコントローラー(TLリンカーン、手間いらず、ねっぱん!、らく通 等)で、例えばシーズナリティ「C」で¥10,000だった価格を、入込みがいいので、「D」にし、¥11,000にするということになります。
この価格コントロールをする上で、大事な点は2つです。
(1) 必ず “早得遅損” にすること
→いくら予約入込み(オンハンド)が悪いからといって、直近で販売価格を下げるのは愚の骨頂です。
直近で価格を下げる場合のリスクは以下の通りです。
■予約の “乗換え” が発生する
例)¥10,000で入っていた予約がキャンセルになり、¥8,000で取り直される
(これはプラス¥8,000ではなく、マイナス¥2,000)
■SNSで呟かれる
例)『●●ホテル、毎日恒例の当日値下げ!』などと呟かれたら、それがその
ホテルの認知・ブランドになってしまい、先予約が入りづらくなり、更なる
値下げを余儀なくされてしまいます。
■なにより、既存予約者への背信(バレても、バレなくても)
⇒リピーターが付きにくくなります。
航空業界は、この “早得遅損” を徹底しています。当日、多数の空席があったとしても、価格を下げたりしません。当日は割高な普通運賃のみです。
とはいえ、実際にスカスカなわけで、価格を下げないことには、どうしようもない というケースもありますよね?
そんな時には、既存プランの価格を下げるのではなく、予め商品クオリティが下がる『リカバリープラン』を準備しておき、それを新たに販売開始するのです。この『リカバリープラン』の典型例は、チェックインやチェックアウトの時刻が通常と異なる「ショートステイプラン」や、「ROH(Run of the House)」 = 部屋タイプホテルお任せ(お客様の側で客室タイプを選べない) などですし、旅館においては、「1泊朝食」や「素泊り」プランがリカバリープランになりがちです。
例)土曜日の旅館、販売している1泊2食プランだけではなかなか予約が入ってこない
×その1泊2食プランを値下げ
〇新たに1泊朝食や素泊りプランを販売開始
(2) 社会性のある範囲で
需要予測と実際の予約入込み(需要と供給のバランス)で価格を決めるのが、レベニューマネジメントの中の価格コントロールなのでしょうが、やり過ぎるのはいかがなものでしょうか?
例えば、11uのシングルルーム¥50,000 などというのは、やり過ぎかと・・・。所有者がファンドで、短期利益だけを追求するのならともかく、親の代、祖父母の代、さらにその前の代からホテル・旅館ビジネスを継承していたり、あるいは子供の代、孫の代、100年先まで継承させたい と考えるのなら、社会性を鑑みないといけません。“人の足元を見る” “ボッタクリ” 商売は永続性に欠けます。
❷リストリクション(販売制限)
リストリクション(販売制限)とは、すなわち “お客様を選ぶ” ことです。前述したとおり、ホテル・旅館は典型的な「キャパシティビジネス」 ⇒ 100室のホテルは、最大でも100組のお客様しか受け入れられない ビジネスです。そのような条件下、売上・利益を最大化するために、❶で述べた「価格コントロール」も大事なのですが、やり過ぎると社会性を欠き、“ボッタクリホテル(旅館)” の認知がされてしまいます。
そこで、社会性を保ちながら = “ボッタクリ” にならずに、売上・利益を最大化する手法が「リストリクション(販売制限)」 = “お客様を選ぶ” なのです。
では、どうやって “お客様を選ぶ” のか?
大きく3つあります。
(1) 同伴係数 = 一室人数 による販売制限
例えば、定員4名の和室12畳のお部屋。閑散日であれば、一室1名や2名のゲストも
大歓迎です。反対に、GWや夏休み、年末年始などの繁忙日は、一室1名や2名の
ゲストはunwelcome・・・
できれば、定員通り4名で入れたい というのがホンネですよね?
客室売上だけでなく、飲食、お土産などミスク売上もあがりますし・・・
そこで、繁忙日は「4名一室でしか売らない」という設定が必要となります。
実作業は、サイトコントローラー上で、例えばシーズナリティ「E」を設定するだけ
でなく、「E-1」「E-2」「E-3」「E-4」と細かく設定します。
「E-4」は4名一室のみで販売(1〜3名一室は料金を持たない)という具合です。
この一室人数のコントロール(販売制限)が最も売上・利益に寄与するばかりでなく、
最もリスクのない販売制限です。なぜなら、グループサイズが大きくなればなるほど、
リードタイムは長くなり、小さくなればなるほど、短くなる(直近予約 が多くなる)
からです。
貴方が100名の団体旅行の幹事をやったら、半年前から計画するでしょうが、1人旅なら
今からだって行けますよね? 4名一室だけで販売し、もし入ってこなかったら3名
一室を開ける。それでも入ってこなかったら2名一室を開ける。
反対に、2名一室が入り過ぎてしまったら閉める・・・こんなコントロールが必要です。
因みに、この一室人数による販売制限は、なにも旅館に限ったことではなく、大手ビジ
ネスホテルチェーンなども週末を中心に、日常的にやっております。ダブルルーム1名
一室¥10,000より、2名一室@7,000×2=¥14,000の方がオイシイですから・・・。
(2) 宿泊プラン “松竹梅”
例えば、閑散日であれば、素泊りや1泊朝食のゲストも大歓迎ですよね?
でも、繁忙日は1泊2食、それも “松竹梅” の「松」で販売したいですよね??
一室人数の販売制限同様、繁忙日は「松」だけで売る、「松」と「竹」だけで売る、「松」と「竹」と「梅」だけで売る、
入込みが芳しくないので1泊朝食や素泊りを開放する、入り過ぎたので閉める などというコントロールです。
(3) 販売チャネル制限
販売チャネル制限については、下記の内、どちらかの条件を満たしていることが
大前提となります。
◆大手OTAにおける上位表示(365日 常に上位20%に掲載)※第5回のメルマガ参照
⇒大手OTAの上位表示が取れていれば、上位表示を取る分だけOTAで稼ぎ、
あとは根こそぎ自社予約へ誘導したい!
◆稼働率90〜95%超
⇒地域や施設にもよりますが、稼働が90〜95%を超えると、事実上売るところはない
ですよね? かといって、設備投資をしない限り単価UPにも限界がある・・・
(“ボッタクリ” は避けたい・・・)
であれば、手数料率が高い販売チャネルを制限することで、たとえ売上が同じで
も、より多くの利益を残すことができます。
貴方のホテル・旅館が、上記いずれかの条件を満たしているのであれば、
「海外OTA」(手数率料12〜20%) → 「国内OTA」(手数料率8〜12%) →
「自社直」(手数料ナシ)
というふうに販売チャネルを絞っていきます。
具体的には、「閑散日は全チャネルで売る」、「繁忙日は(上位表示を維持するため
に)国内OTAと自社直だけで売る」、「最後の5室は自社直だけで売る」といった
チャネル戦略が必要です。
ただし、クドイようですが、この販売チャネル制限については、「大手OTAにおける
上位表示」 または 「稼働率90〜95%超」 のいずれかが大前提となります。
いずれの条件も満たさないまま、自社戦略を採ると、「自社比“率”」だけが上がり、
「WEB予約総“額”」が上がらなくなってしまいます。ビジネスにおいては、
“率” と ”額“ を混同(勘違い)せず、分けて考えることが必要です。
上記3つのリストリクション(販売制限) = 「一室人数」、「宿泊プラン“松竹
梅”」、「販売チャネル」は、繁忙日にホテル・旅館側が「お客様を選んでいる」
だけで、けっして、“ボッタクリ” ではないですよね?
例)繁忙日、2名一室のゲストより、4名一室のゲストを優先して取る
⇒客室売上は上がるが、1人あたりの単価は妥当な金額
繁忙日、1泊2食「梅」のゲストより、「松」のゲストを優先して取る
⇒ 単価も上がるが、よりクオリティの高い商品(夕食)が提供される
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収益アップのために、単価アップは不可欠ですが、単価を上げる際に注意したいのは、「顧客満足度(CS)」、「クチコミ」を下げないことです。不当に高い価格設定は、確かに短期的な利益をもたらしますが、顧客満足度が下がり、商売の継続性・永続性を考えれば???です。
でも、リストリクション(販売制限) = 繁忙日に “お客様を選ぶ” やり方であれば、顧客満足度は悪くても現状維持、単価は上がっても、クオリティの高い商品が提供されることになるので、顧客満足度が上がる可能性すらあります。
これまで全12回にわたりメールマガジンを配信してきました。
読者の皆様にはご購読いただき誠にありがとうございました。(途中、間が空いてしまったことも多々あり、申し訳ございませんでした。)
もしよろしければ、これまでのバックナンバー
http://www.yadoyadaigaku.com/info/data1/171006-081601.html
もご覧ください。
きっと、皆様のホテル・旅館の収益向上にお役に立てるヒントがあろうかと思われます。
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“WEB集客とレベニューコントロールのプロ集団”
株式会社 宿援隊 代表取締役
株式会社 宿 力 取 締 役
石井 太樹
http://yado-riki.com/
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