【17.10.04】連載「お金をかけずに今すぐできるWEB集客」vol.2

第2回 予備知識A「収益UPのために」 予備知識B「室料UPのために」


宿屋大学メールマガジン読者の皆々様へ

こんにちは。(株)宿援隊 隊長の石井 太樹です。
前回に続き、2回目のメールマガジンを配信させていただきます。

前回、企業の目的は、(短期的及び中長期的 両面での)利潤の追求であることを述べました。
今回は、その利益を生むための考え方や手法について触れたいと思います。

ホテル・旅館業界において、利益を上げるためには、2つの施策があります。
1つは、
@閑散期など、需要の弱い日・季節に1人でも多くのお客様にご利用いただこうとする施策
もう1つは、
A高需要日(特日)の単価を上げる施策です。
どちらも大事な施策ですが、皆さんは、どちらの施策がより効果的・効率的だと思われるでしょうか?

答えは『A』です。
『@』もとても大事な施策ですが、閑散日・閑散期の需要には限界があり、千客万来というわけにはいきません。

他方、『A』については、データ上、あるいは経験上から高値満室が見込める日であり、収益UPのためには、こういう日の単価、とりわけルーム単価(室料)を上げる方がより効果的且つ効率的なのです。

因みに、『@』の施策は、後に【短期収益編】第4回〜第7回で触れる「4露出の充実」 = 自社ホームページ(PC)、自社ホームページ(スマートフォン)、国内大手OTA2社での露出を充実させ、競合他館に比して、少ない需要から「選ばれる宿」にすることです。


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さて、利益UPのためには、高需要日の単価、とりわけルーム単価を上げる施策の方がより効果的・効率的であることは、ご理解いただけたかと思います。

では、そのルーム単価を上げるには、3つの考え方が必要となります。
それは、「ユニフォーム会計」、「レベニューコントロール」、「Rev-PAR」です。
いずれも横文字で難しそうな用語っぽいですが、そんなことはありません。順に1つずつ説明していきます。

まずは「ユニフォーム会計」についてです。

「ユニフォーム会計」の“ユニフォーム”とは、“統一の”とか、“お揃いの”という意味で、スポーツ選手が来ているユニフォーム、あるいは、ホテルや旅館の皆さんが来ている制服のことでもあります。すなわち、国際的に統一のホテル会計のことです。

「ユニフォーム会計」を一言で表すなら、“分解”です。
例えば、ある旅館で1泊2食付@10,000の商品が月に1,000人分売れたとします。
この場合、売上は@10,000×1,000=¥10,000,000となり、旅館経営者によっては、「売れた売れた」「儲かった儲かった」となってしまう方もいます。それでは“ドンブリ勘定”です。

「ユニフォーム会計」では、この1泊2食付@10,000を、例えば、室料@6,000、夕食@3,000、朝食@1,000 と“分解”し、月に1,000名分売れたのであれば、

室料収入:@6,000×1,000 = ¥6,000,000
料飲収入:(@3,000+@1,000)×1,000 = ¥4,000,000(内、夕食¥3,000,000、朝食¥1,000,000)
と把握します。

繰返しますが、室料収入(ルーム売上)を上げることが、収益UPに有効です。
参考までに、食材原価率については、総売上を分母にするのではく、“分解”した後の夕食売上、朝食売上を分母にします。(私の経験、お付合では、1泊2食の総売上を分母にしている旅館経営者の方の方が多いように感じます。)

次に「レベニューコントロール」についてです。
※「レベニューマネジメント」という言葉の方が聞き慣れている方が多いかもしれませんが、「レベニューマネジメント」という単語を、単なる価格の吊上げ というふうに誤解されている方もいらっしゃるので、敢えて「レベニューコントロール」という言葉を使わせていただきます。

「レベニューコントロール」は、
A.需要と供給のバランスで価格を決定する
B.販売制限 = リストリクション をかける
2つの手法があります。

『A』については、都市部のチェーンホテルで見受けられるように、需要予測と実際の入込み = オンハンド により室料を上げていくやりかたで、実際には、例えば、これまでシーズナリティ「E」で売っていたが、予想以上に入込みがいいのでシーズナリティを「F」に上げる という手法が取られています。

この場合、“早得遅損”が大原則です。入込みが悪いからといって、同じ宿泊プランの販売価格を直前で下げると、既存予約のキャンセル→取り直し(乗換え)が起きるばかりでなく、「あのホテルはどうせ前日・当日に値を下げるから・・・」という認知ができてしまい、先予約が取れなくなってしまいます。(「●●ホテル、毎日恒例の当日値下げ」などとSNSで呟かれている事例すらあります。)直前で入込みが悪い場合の対策は、販売済み宿泊プランの値下げではなく、チェックインが遅い、チェックアウトが早い、部屋タイプが選べない など、制限があったり、クオリティが低かったりするリカバリープランの販売 というのが現実的です。

『B』については、3つの販売制限 = コントロール をします。

それは、売上・利益に効く順で、
(1) 同伴係数 = 一室人数 コントロール
(2) 宿泊プラン“松竹梅” コントロール
(3) 販売チャネル コントロール
です。

『(1)』一室人数のコントロールは、例えば和室12畳 定員4名という部屋があった場合、平日・閑散期であれば、1名一室だろうと2名一室だろうと予約を取っていく必要があるのですが、高需要日については、4名一室を優先的に取っていく、すなわち1〜3名一室の販売を制限することが収益の最大化に繋がります。

実際に、都市部にあるチェーンホテル(主にベッド幅154cm)について、週末、1名一室で検索すると客室在庫が出てこない = 満室表示なのに、2名一室で検索するとダブルルームが出てくる などということもしばしば見受けられます。

『(2)』宿泊プラン“松竹梅”のコントロールは、例えば、1泊2食付プラン松・竹・梅、それに1泊朝食付、素泊り という5種類の宿泊プランがあった場合、平日・閑散期であれば、1泊朝食付だろうと、素泊りだろうと予約を取っていく必要があるのですが、高需要日については、「松プラン」を優先的に取っていく、すなわち「竹プラン」以下の販売を制限することが収益の最大化に繋がります。

上記「一室人数コントロール」と「宿泊プラン“松竹梅”コントロール」を併用して行なうと収益はみるみるうちに向上します。

『(3)』販売チャネルコントロールは、後に【短期収益編】第4回〜第5回で触れる大手OTAでの掲載順位で、恒常的に上位表示が取れていることを大前提に、高需要日について、海外OTA→国内OTA→自社直販売 の順で販売チャネルを絞っていく手法です。これを実施することにより、例え売上が変わらなくても、利益UPが図れます。

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なお、温泉旅館やリゾートホテルについて、上記コントロールが必要な日数は、概ね50〜60日/年 です。

ホテル・旅館は、典型的なキャパシティビジネス。すなわち、(メーカーと異なり)日毎の増減産ができない、上限が決まっているビジネスです。なので、高需要日について、「お客様を選ぶ」こと ⇒ 「2名一室のお客様より4名一室のお客様を選ぶ」、「素泊りのお客様より1泊2食付“松”プランのお客様を選ぶ」ことが必要となります。
(「新規のお客様より常連さんを選ぶ」については、【中長期収益編】第9回〜第10回で触れます。)

※「Rev-PAR」については、次回に回します。

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“WEB集客とレベニューコントロールのプロ集団”
 株式会社 宿援隊 代表取締役社長
 株式会社 宿力 取締役東京支社長 
 石井 太樹
 http://yado-riki.com/
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