【16.01.01】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.93)

(株)日本宿泊産業の研修部として実力アップを  〜2016年元旦「新年のご挨拶」

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      第四回「PHM養成講座」受講生や講師、事務局スタッフと




 新年あけましておめでとうございます。
 昨年末は、講座開催や出張が続き、結局大晦日まで仕事でした。お蔭で、大掃除も年賀状も書けずじまい・・・。ばたばたのうちに年が明けてしまいました。

 12月26日土曜日、第四回「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」の最終プレゼン会と修了式が無事に終わりました。22人の受講生でスタートした第四回PHMですが、最終プレゼンを行なったのは15人、修了証を受け取ったのは11人(うち一人は三期生で、前回欠席してしまった講座を今期に受講したために修了証授与が今回になった方)でした。修了証は、全15回を受講し、毎回の課題を提出し、振り返りレポートをきちんと提出した方に授与しています。仕事をしながらこれらをこなすのは、睡眠時間もプライベートの時間も削られ、かなりしんどい半年間になります。今回の受講生は遠くから通われた方が多く、北は帯広、南は那覇から東京の教室に来て、泊まり掛けで受講されました。そうした皆さんには、本当に頭が下がります。お疲れ様でした。修了証を受け取った多くの方がフェイスブックに修了証と集合写真をアップしているのを見て、主催者として実に嬉しかったですし、半年間走り抜いた達成感を味わった証拠だと思いました。
 また、半年間、共に学んだ同志の結束はとても強く、私にとってもこの四期生の輪は掛け替えのないものとなりました。生涯お付き合いし続けたい仲間です。



 さて、今回の年越しは、頭をリセットする間もなく明けてしまい、このまま山積みになっている仕事の山を切り崩す作業に入ることになりそうです。賀状も書けなかったので、宿屋大学としての新年のご挨拶をこのブログで伝えたいと思います。

 創業から6期目を迎えている宿屋大学も、お蔭様でたくさんのお仕事をいただけるようになりました。高額の講座にも受講生が多く集まっていますし、出張研修や、企業研修のご依頼も多数いただいております(これは観光産業の好景気の恩恵という要因が大きいと思っております。ゆめゆめ「実力が認められた!」という過信は持たないようにして、ビジネススクールとしての実力向上にまい進したいと考えます)。
 宿屋大学のミッションは、創業当初から変わらず「筋金入りのホテリエ育成」です。グローバルに通用する日本人のプロフェッショナルホテルマネジャー育成です。厳密に言えば、旅館経営者の育成もできるように現在研究中ですが、とにかく、日本の宿泊産業の経営力を高め、業界人の幸せを目指しています。2016年を迎えるにあたり、今年の方向性を3つのポイントとして挙げたいと思います。


家業から事業へ



 一つ目は、「経営にシフトする」です。2010年に独立して以来、いただける仕事は基本お断りをしないでありがたくお引き受けしていました(もちろん、宿泊業へ貢献できる仕事限定ですが)。結果、私は何屋さんだか分からない仕事をすることになりました。ときにビジネススクールの事務局、ときに大学や専門学校の講師、ときに書籍編集者、ときに物書き、ときにカメラマンといった具合に多種多様な仕事をさせていただきました。もちろん、好きな仕事ばかりですし、収入も伴いましたので、この6年弱は本当に幸せな仕事人生を送ることができました。
ところが、肝心の株式会社宿屋塾の経営は、業界ニーズの増大に追いついていない状況になっていると感じています。もっとパワーアップし、もっと多くの講座を設定し、もっとビジネススクールとしてのレベルを高めないといけないと感じています。
 そのために、今年からは、講師や物書きの仕事を限定的にし、株式会社宿屋塾の経営に集中していきたいと考えています。また、今年からは、私と同じ動きができる正社員がジョインする予定です。
 つまり、家業的にやっていた株式会社宿屋塾を、“事業”としてしっかりと進めていこうと考えています。これは、私のビジネスパートナーである旅館総研の重松所長からの「宿屋大学は、これから日本を背負って立つ観光業のためにもっともっと頑張らないとだめです」という叱咤激励をいただいたこともあるのですが、自分自身でも「経営者として事業をしっかり遂行していきたい」という思いは大いに持っています。
 家業ではなく事業で行なうとはどういうことか。それは、事業計画や長期的な事業戦略を持つということです。何でも自分でやろうとせず、自分でなくてもできる仕事は人に任せるということです。そのために人材マネジメント、組織作りをしていくということです。常日頃そんなノウハウやスキルを伝えているビジネススクールそのものがそれをできていないのは、ちょっと恥ずかしいことですし・・・。


ビジネススクール、研修会社としてのスキルアップ


 二つ目は、ビジネススクールの実力アップです。
 宿屋大学を法人化して始めたころ、私は「ビジネススクールの実力というのは、どれだけ素晴らしい講師をラインナップできるかで決まる」と思っていました。でも、今は違います。自分自身がいくつかのビジネススクールに通った結果、その考えを大いに改めました。今では、「ビジネススクールの実力は、受講生の成長や成果を、どれだけ追いかけられるか」だと思っています。優れたノウハウやスキルを伝えるだけではなく、受講生の行動が変わり、成長し、ビジネスマンとしての実力をどれだけつけさせることができるのかがビジネススクールの実力なのだと思っています。一昨年の「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」からは、そこを特に意識して、「学びを行動変容や成長につなげる工夫」を磨くようにしています。それが強みになると思っています。
 宿屋大学には、企業や地方の観光関連の自治体から多くの研修依頼をいただいていますが、そこを強化し、売りにしていきたいと考えています。


日本ならではの宿泊ビジネスの研究


 三つ目は、日本ならではの宿泊ビジネスのあるべき姿の探求です。これは、一つ目の「家業から事業へ」の指針に反することかもしれませんが、個人的に生涯続けていけたらと思っています。
 具体的には、日本の宿泊業の強み、競争優位性は旅館の本質にあるかもしれないという仮説のもと、旅館ビジネスの研究を続けたいと思います。また、近年目立っている「日系宿泊特化型ホテルの海外進出」にも注目していきたいと思います。
 それと、もう一つ、某ホテル企業のドキュメンタリー本の執筆です。「美しい日本を集めたホテルアライアンス」を掲げるこの企業の経営者とマネジメントスタッフの取り組みや成長を追いかけることで、日本の宿泊ビジネスの一つのあるべき姿を広く伝えていけたらと思っています。企業が成長するためには、その前に社員が成長しなければなりません。人が商品であるサービス業、ホテル・旅館ビジネスにおいては、なおさら、人の成長と仕事へのモチベーションが企業価値に直結します。そういったことをしっかりと理解しているこの企業の経営者は、父親のように強くぶれないリーダーシップを発揮し、母親のように愛情込めて我慢強くスタッフの成長を見守っています。この企業に、私はいま、惚れ込んでいます。夢中になって取材をしています。来年の今頃は、その最終原稿を書いているころだと思いますが、多くの業界人にこの企業の取り組みを早く伝えたいと思っています。

 と、いつもながら長文になってしまいましたが、「業界人の応援」という軸をぶらさずに今年も仕事を楽しんでいきたいと思っています。
本年も宿屋大学を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

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