【13.06.11】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.63)

どうしたらプロフェッショナルホテルマネジャーを育成できるのか

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 一昨年に第一回を、昨年第二回を開催した「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座(略称PHM講座)」ですが、お伝えしている通り、今年はいったん開催をストップして、本講座の取り組みを根本から考え直しております。
 理由は、「本当の意味でのプロフェッショナルホテルマネジャー育成ができていないのではないか」という疑問です。受講者たちは、満足し、彼ら彼女らなりに成長もしていますが、それだけで「プロフェッショナルホテルマネジャー(=筋金入りのホテリエ)育成を目指すわれわれが満足してはいけない」というご指摘を講師のみなさまから受け、私自身も講師のみなさまのアドバイスを頂きながらゼロベースで再構築を試みるにいたっています。
 大きく変わらなければならない部分は、「グランドデザイン」をつくるということです。
 これまでのような「5時間×13回のシリーズ講座」ではなく、一つひとつの講座をただ単に羅列するのではなく、「シナリオのようにつなげていく」デザインが必要だということです。
 また、座学という講義だけではなく、その前後の予習・復習、課題提出、評価などによって「学び」を持続させる仕組み、そして、学んだことを現場で生かすことを促す仕組みも必要です。知識やスキルは使ってナンボですし、使うことによって自分の知恵となり、磨かれます。その意味では「ケース演習」のストックがも宿屋大学には不足しています。
 さらには、ネットを活用した「受講者を支援するコミュニケーション」も持ちたいと考えています。受講者⇔受講者、受講者⇔講師、受講者⇔主催者、受講者⇔メンター&コーチのつながりを設けて、みんなで受講者がプロフェッショナルホテルマネジャーになっていくのを支援していく。懇親会も必要でしょう。
 さらにさらに、大事なのは、海外ホテルマネジメントの研修や実際のマネジメント経験です。ここまで来ると学校教育という概念から逸脱していますが、水泳選手がいくら勉強しても泳がなくては上達しないのと同じように、やはり、ホテルマネジメントもやってみなければ上達しません。
 知識やスキルを得て、自ら考える力(問題解決力)を醸成し、人を動かす力(リーダーシップ&コミュニケーション、ホスピタリティ精神=心から相手のことを思って役に立ちたいと思う気持ち)を持ち、百戦錬磨とまでは行きませんが他流試合(海外経験)も含めた現場のマネジメント経験を積んでいく。

 とまあ、理想は高いのですが、実現させるにはクリアしなければならない問題がいくつも残されています。そもそも、われわれがしようとしている取り組みに対して「ぜひ、応募したいです」と手を挙げるプロフェッショナルホテルマネジャー志望者が果たしてどのくらいいるのかも疑問です。
 反面、ありがたいことは、宿屋大学にはアドバイスやサポートをしてくれる講師や支援者がたくさんいるということです。ある講師は、大いに駄目出しをしてくれます。成長まっしぐらのアジアの某国でGMをしているある講師は、「うちで研修してもいいよ」とプランをつくってくれていますし、いま日本で最も注目されているGMの一人である講師は、「GMになるためのキャリアデザイン」を指南してくださっています。
 私自身も大手のビジネススクールに現在通い、ビジネススキルのレベルアップだけではなく、ビジネススクール運営ノウハウ(嫌でも成長せざるを得ない仕組み)を体感しています。
 その上で、ピラミッドストラクチャー(ロジカルシンキングのフレームワークの一つ)などを使って「プロフェッショナルホテルマネジャーを育成するにはどうしたらいいか」というテーマを考え続けています(上記のイメージ図)。

 プロフェッショナルホテルマネジャー(筋金入りのホテリエ)育成は、宿屋大学のロマンです。お金を稼ぐ仕事をしてソロバンをはじきつつ、このロマンを追い続けたいと思っておりますので、第三回の開校、しばしお待ちくださいませ。

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