【13.03.31】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.58)

企業は、背を伸ばす前に、まず筋トレ


 先日、株式会社ポジティブドリームパーソンズの杉元崇将社長とお会いしました。
 杉元社長は、かつて宿屋塾に何度も通っていただきました。数年前にはグロービス経営大学院に社長業をしながら通い、見事卒業され、しかも創業からわずか15年で年商100億円企業に成長させた「筋金入りの経営者」です。
いま改良中の、宿屋大学「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」のアドバイスを頂きたく、お時間を頂戴しました。
 みっちり90分間お話をお伺いできましたが、それはもう衝撃的でした。頭をガツンと殴られた感じです。宿屋大学を企業化してからこれまでの3年間は、助走期間に過ぎなかったと思わせるほどの励ましとアドバイスをいただきました。
 杉元社長の生き方、経営者としての哲学は、実にすばらしいので、一人占めせずに、同社の許可を得てここで紹介したいと思います。
 
 杉元社長が、グロービスに通った理由は大きく分けて二つ。
 一つは、社内に「学ぶ文化」をつくるということです。3年間社長が学校に行って学んでいるという姿勢を見せることで、スタッフにも「学ぶという投資」の意味を理解しアクションを起こさせたかった。その背景としては、それまで店舗出店を繰り返してきた同社が、新規出店という、いわば「身長を伸ばす」拡大路線をいったんストップし、「筋トレ」の時期を持ちたいと2008年ころに考えたことがあったそうです(驚くことに、企業の規模の成長を止めたにも関わらず売上はアップしたそうです。つまり、一人ひとりの生産性はアップしたということです)。

 もう一つの理由は、言わずもがな杉元社長自身のビジネスの勉強です。
 グロービスで得たことで、「今の経営に、最も役立っていることは?」の問いには、「280のケース演習」とお答えくださいました。グロービスには、ハーバード同様、ビジネススクールの大事な資産である「(ビジネス上の問題解決のための)ケース」がたくさん蓄積されています。そして、さまざまな科目で講座がありますが、どれも知識やノウハウ、フレームワークを得るだけではなく、リアルの(もしくはリアルに近い)このケース問題を渡されて、それを解くという演習をします。杉元社長は、3年間で280回のケース演習を繰り返したそうです。ケース問題の千本ノックのようなものです。これは確かに、鍛えられます。

 また、同時進行で社内でも3つの研修を用意したそうです。
@心門塾という経営道場(ビジネスマンが必要とする心の強さを養い、課題図書を読みこんでビジネスを学ぶ)
APDPビジネスカレッジ(社員全員が学ぶビジネススクール)
BPDPマネジメントカレッジ(マネジメントや経営に携わる人を選抜して受講してもらう)
 さらに、鍛えたい人は、半分社費、半分自己負担でグロービスの経営大学院に送るそうです。

 ここまで人材教育に力を入れているホスピタリティ企業は、私は聞いたことがありません。

 最後に、印象的だった杉元社長の言葉を二つ。
「ホテルの人は体の汗をかくけれど、脳の汗をかくことをあまりしないですよね」
「ヴィジョンと戦略を明確にすること。『いつかフルマラソンにでる!』よりも、『半年後のホノルルマラソンに出る』のほうが、毎日のやることが明らかに違ってくる」
また、御自身のノルマとして、月に5冊の読書、週5日×3キロのジョギングを課し、食事にも気を配っていらっしゃいます。経営者として自分の鍛錬もストイックに続けている。さらには、すべての現場を自分の足で定期的に周っているそうです。
どうですか、みなさん、気合入りませんか?
 私は、エンジンに点火してもらいました。
 今月から株式会社宿屋塾は4期目に突入します。5年後、10年後の目標も、そのために日々何をしなければならないかも設定しました。
 快走したいと思います。


http://www.positive.co.jp/

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