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【13.02.19】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.55)
ビジネスマンは、利益を出さなければ何も言えない
今回の雑学ノートは、“お詫び”です。
最近の私の発信内容が誤解を生んでいるようなのです。
どういうことかと申しますと、「数年前まで、グローバルホテルマネジメントを学ぼうと、散々言ってきながら、近藤は、過去の日本が持っていた“おもてなし至上主義”“顧客満足至上主義”に戻すというのか」という受け取り方をされた人がけっこう多いようなのです。
それに気付きました。
私の発信は、ホテル業界人に読んでいただいており、とくに学生や、若手のホテル業界人の方々が多く読んでくださっているので、私の発信は彼らの価値基準になり易いために、責任は重要です。
今回はそれを正し、お詫び申し上げたいと思います。
ビジネスの理想は、「顧客満足と社員満足と利益の3つをバランスよく高めること」であると私が考えていることは何度も申し上げていることですし、この考え方はまったく変わっておりません。そして、経営者の手腕というのは、「顧客満足と社員満足を達成した上で、どれだけ利益を残すかで評価される」のだと思っております(顧客満足と社員満足は利益創出の手段と考える方はいますが、私はそうは思いません)。
そして、ビジネスマンは、利益を出さなければ、えらそうなことは何一つ言えないのです。例えば、経営者やマネジャーが「利益は出ていないけれど、お客さんは満足しているし、社員も幸せなんだからいいじゃん!」という発言をしたとしたら、その人はビジネスマン失格だと思います。
その考えは変わりません。第一、私自身が利益を創造すること(下世話な言い方をすると「儲けること」)が、大好きです。が、ここのところ、ホスピタリティとか、ホンモノの追求という言葉を多用しすぎたためか、「近藤は、軸がぶれている、言っていることが前と違うんじゃないの」と思われている方も多いようなのです。
誤解が生じてしまい、本当に申し訳ありません。
利益は後回しでいいとは、ゆめゆめ思いません。
私は、一昨年、石丸雄嗣氏というホスピタリティ・マネジメントの提唱者と出会い、昨年、ホテルグリーンコアというその実践者を半年間取材し、盛んにその手法を伝えています。その仕組みが私にとってあまりに画期的だったので、ついつい強調し過ぎたのだと思います。申し訳ございません。
誠に僭越ですが、これまでの日本のホテルは「ホスピタリティを利益に換える仕組み」が確立できずにいたために、手間暇のかかる接客がコストで終わり、利益を創出することにつながってこなかったのだと思っています。そこにきて、石丸さんは論理的に「ホスピタリティをきちんと理解し、こういう風にマネジメントしていけば、ビジネスにつながるという技術」をご案内くださり、グリーンコアは、その技術を全社的に共有し、全館で増収増益を繰り返しているのです。だからこそ、私はより多くのホテル業界人にその論理と技術を知ってほしくてご紹介を繰り返しております。
ただし、ホスピタリティ・マネジメント(サービス・マネジメントの対義語としての)は、利益を残すための技術のひとつです。ビジネスマンの使命としての(顧客ロイヤルティを創出した結果得られる)利益創出手段・競争優位性持続の方法の一つなのです。
ホテルだってビジネスです。今回のタイトルのようなスタンスをホテル業界人だって、必要だと、私は考えております。マーケティングや労働生産性・効率性アップの取り組み、売り上げを最大化する仕組みなどなど、グローバルスタンダードのマネジメントスキルも、もちろん学び、そして生かしていくことも、間違いなく必要なことであると考えます。