【12.12.04】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.50)

“低価格”とリピートには相関が見えず、パーソナルな接客こそが、ロイヤルティを生む

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 11月27日、顧客満足度調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D.パワーアジア・パシフィックが、2012年の「ホテル宿泊客満足度調査」を発表しました。私もその発表会を取材しましたので、ここで報告したいと思います。
 この調査は、日本全国のホテルグループ・チェーン145ブランドを対象に、宿泊者のホテルでの経験やサービスに対する満足度を調べるもので、全国の18歳以上の男女が対象。直近1年間に宿泊したホテルについて、今年8月にインターネットで調査し、2万5375人から回答を得ました。 
 カテゴリーは、ホテルの提示する正規宿泊料金や客室面積をもとに「<A部門>1泊35,000円以上」「<B部門>1泊15,000円〜35,000円未満」「<C部門>1泊9,000円〜15,000円未満」「<D部門>1泊9,000円未満」の4つに分けています。
 まず、<A部門>1泊35,000円以上部門では、「ザ・リッツ・カールトン」が7年連続1位となりました。2位は「帝国ホテル」、3位は同率で「ハイアットリージェンシー」、「パン パシフィック」、「ザ・プリンス」、「ウェスティン」でした。
 続く<B部門>1泊15,000円〜35,000円未満部門では、「ロイヤルパークホテルズ」が6年連続1位となりました。2位は「アソシアホテルズ&リゾーツ(ホテル アソシア)」でした。
  <C部門>1泊9,000円〜15,000円未満部門では、7年連続で「リッチモンドホテルズ」が1位となりました。2位は「ダイワロイネットホテル」でした。
最後、<C部門>1泊9,000円未満部門では、ランキング対象となった14ホテルブランドのうち、「ドーミーイン」が1位となった。2位は「スーパーホテル」でした。

 調査発表と同時に、同社は「調査結果ハイライト」を紹介されました。それによると、今年は次のような傾向があるとのことです。


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●ホテル宿泊時に重要視するもの(複数回答可)は、1位「無料朝食」(42%)、2位「冷蔵庫」(38%)、3位「薄型テレビ」(32%)、4位「温泉・浴場施設」(24%)、4位「無料の無線インターネット回線」、6位「無料駐車場」、7位「ヘアドライヤー」、8位「女性用アメニティ」、9位「コーヒーメーカー・湯沸かし器」、10位「無料の飲料水」であった。

●その要因は、ハードとソフトの両方で改善に努めている企業は評価が高くなり、怠っている企業は評価を落としている。

●昨年と比較して区分される4つの部門において宿泊客満足度は向上し、満足度は10ポイント前後向上している。

●ただし、すべてのホテルチェーンの満足度が向上したわけではなく、満足度が低下したホテルも目立った。ホテルの顧客満足度やロイヤルティは二極化している。

●ハードにおいては、清掃、家具、空調・照明の調整のしやすさ、客室のにおいなどで評価の低いホテルの顧客満足度が低下しており、逆にこれらの評価の高いホテルはどこも満足度が上がっている。

●ソフト面では、「細やかな気遣い」「大切な顧客として接してくれた」という部分での評価によって、顧客満足度は二分された。温かいパーソナルな接客が「また来たい」と思わせる大きな要因になっている。

●4つのカテゴリーにおいて、客室料金は前年対比ほぼ横並びであった。

●「安さ」は、「また来たい」と思わせるロイヤルティにはつながらない。

 単価上昇や新規客獲得という方向性よりも、まずは目の前のお客さまに、「大切なお客さま」という思いを伝えることでファンになってもらい、リピートしてもらうことが、ホテルビジネスの長期的な安定を導くものであるということが再確認されました。


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