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【12.09.18】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.45)
「受け取る」より「与える」を先に考える
(写真はイメージ)
最近、うまくいっている企業と、そうでない企業に共通することを発見しました(ここで言う「うまくいっている」の定義は、「お客さまも社員も経営者もハッピーでいる」としたいと思います)。
まずは、うまくいっていない企業の共通点。
経営者は価値提供よりも自身の成功やお金を目的に仕事をしています。よって、社員やスタッフに高いパフォーマンスを求めます。「高い給料、払ってんだから、ちゃんと働け。ノルマを達成せよ」と強く要求します。すると、スタッフは、お客さまへの価値提供、お客さまの満足や幸せよりも売り上げや利益を重視します。お客さまが求めないもの、必要ではないものでも売り上げになるのであれば、一生懸命売ろうとします。結果、満足しないお客さまが出てきます。不評が広まり、結果、売り上げや利益が減少していき、会社全体の財務体質も弱まり、スタッフの給与は削減されます。劣悪な空気が職場や現場に蔓延します。この空気は、その会社やホテルに入った瞬間、なぜか感じるものです。
一方、うまくいっている企業の共通点。
経営者は、仕事の目的は利益創造ではなく、価値の創造、お客さまや社員・スタッフの幸せだと思っている。お客さまを幸せにするために集まったのが社員・スタッフだから、まずは、その社員・スタッフが幸せになることを考えています。すると、社員・スタッフはお客さまの幸せを一生懸命考えます(この時点で利益を残す仕組みは必要ですが)。すると、お客さまはリピート利用したり、口コミで広めてくれて新しいお客さまを連れて来てくれます。愛情や思いやりが巡る場所や空気があるのです。そんな場所には、人はなぜか引きつけられるのです。
みんなが「受け取る・求める」より「与える」を先に、そしてつねに考えています。みんなが、自分のことよりも相手のことを考えているのです。
これこそ、成功している企業の共通点です。その逆、つねに「与える」よりも「受け取る・求める」ばかりをみんなが考える企業というのは、「なんで社員は満足は働きをしてくれないのか」といった経営者の不満や、「自分たちはこんなに一生懸命働いているのに、安月給なのか」といった社員の不満が蔓延しているし、何か問題があると犯人探しをしたり、責任逃れをします。自分のことだけで精いっぱいなので、助け合いもなくなります。
どこもどちらの循環にしても、起点は経営者であり、つくるのは経営者です。
1961年、ジョン・F・ケネディが第35代アメリカ合衆国大統領に就任した際の有名な演説を思い出しませんか。
「あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。 あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい」
これを、私は、次のように変えて自分に言い聞かせています。
「まわりがあなたのためにしてくれること(受け取ること)よりも、あなたが回りのために何ができるか(与えること)を考える」
これを全員が考える社会というのは、それは素晴らしい社会であると思うのです。
追伸(1) 今日から、私が講師をさせていただいている東京YMCA国際ホテル専門学校の一年生約100人が、ホテルの現場に行って実習をさせていただきます。彼らには、私の一学期の最終講義で「会社やまわりに求めることよりも、あなたが会社やまわりにできることを精一杯してきてください」と伝えました。現場のみなさま、ホテル業界の金のたまごたちを、ぜひとも愛情持って厳しくご指導よろしくお願い申し上げます。
追伸(2) みんなが「受け取る」より「与える」を先に考えて成功しているホテル企業を紹介したノンフィクションドキュメンタリー『巡るサービス 〜なぜ地方の小さなビジネスホテルが高稼働繁盛ホテルになったのか』(オータパブリケイションズ刊、近藤寛和著)が、来週発売されます。