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【12.08.21】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.43)
「らしさ」、失っていませんか?
JR高田馬場駅から東京YMCA国際ホテル専門学校(宿屋大学の講座を開講している校舎です)に向かう通りに、「はなまるうどん」があります。私は、時間のないときや軽食を済ませたいとき、時々入店しては、讃岐うどんを食します。
先週の土曜日、久しぶりに訪れたところ、このお店がリニューアルしていました。店名まで変わっていました。「はなまるうどん + カレー 高田馬場店」に。そして、なにやらカレーを出し始めたのです。さらに、主力商品である「うどん」は、大幅に値上げをしていました(かけうどんは、100円から190円に)。
あれれ…、と思いつつ入店し、うどんを注文しました。自分で蛇口から出すスープはぬるく、いつもは揚げたての天婦羅は時間が経って冷めていました。店員は注文を受ける際にお客さんの顔を見ませんでした。
とてもがっかりしました。そして、私はもうこのお店には足を踏み入れないだろうなあと思います。
(はなまるうどんさん、すいません。ビジネスやマーケティングを考える上で、とても考えさせられましたので、ここで考察させていただきます)
商品や企業にはライフサイクルがあるので、主力商品が先細りのときに、次の一手を考えることは、企業努力としては当然です。ただし、次の一手を打つことが、既存商品や企業のブランドイメージや品質を損ねてしまうことがあります。上記の「はなまるうどん」さんは、そんな例ではないかと思うのです。
要するに、カレーを出すことによって、これまで「讃岐うどん」専門店として築き上げてきたブランドイメージを損ねている。「らしさ」を失ってしまったのです。また、おまけに主力商品であるうどんの価格が上がり、品質は落ちてしまっているのです(これは、カレーを出すことと相関があるかは分かりませんが)。
ビジネスは、すべからく「誰」に「何」を「どのように」提供するかを考えることです。
「誰」はマーケット、「何」は商品、「どのように」は戦術です。今回の上記店のリニューアルは、商品をいじりました。「うどんだけじゃ採算が合わない」と思ったのでしょうか、カレーという、既存マーケットが好きそうな商品を付け加えました。ところが、「讃岐うどん専門店」という「らしさ」(ブランド)を損なってしまった(と私は感じています)のです。高田馬場というのはB級グルメ天国です。美味しいカレー屋さんは近所にたくさんあります。美味しいカレーを食べたければそういう店に行きますし、わざわざうどん屋さんでカレーを食べたいとは思いません。
すべて推測で書いていますが、問題の本質は、「何」という既存商品ではなく、「どのように」という戦術に問題があったのだと私は思っています。
主力商品に魂を込めていない。ラーメンでもそうですが、作り手のちょっとした気合によって大きく味は変わります。どんなに経営者が優れた仕組みを作っても、最終的に製品を作る調理スタッフに気合が入っていなければ、味は落ちてしまうのです。
店のオペレーション、スタッフの気合の問題なのです。それを見間違えて、問題解決策を誤ってしまった。結果、ブランドイメージを損ねてしまった・・・。
「らしさ」って、大事です。それがブランドであり、USPなのですから。次の一手が、マイナスにならないように、気をつけたいものです。
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