【12.06.26】 ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.39)

モチベーションの源泉を見極める


当たり前の話ですが、人の行動には二種類しかありません。

   A「自分のための行動」
   B「自分以外の人のための行動」

 でも、行動のモチベーションの源泉を、いちいち「これは、誰のためにやっていることなのか?」を考えて行動することはあまりないですし、深く考えてみる機会もないと思います。今回は、「モチベーションの源泉」について考えてみたいと思います。


image/120626-083422-123.JPG




 上記二つの行動は、さらに二つに分解できると思います。

 まずは、A「自分のための行動」の分解です。
 一つは、自分のための行動を、自分のためにやっていると認めてやっていることです。これを便宜上A1とします。
 もう一つは、自分のための行動なのに、「私利私欲でやっているんじゃない」と言い張ってやっていること(A2)。これが見えてしまうと、とても胡散臭いです。世の「胡散臭い人」というのは、こういう行動をしている人です。例えば、売名行為のためのボランティア活動、例えば、組織のためと言っておきながら実態は自身の出世のための行為だったりする言動です。

 続いて、B「自分以外の人のための行動」を分解します。
 一つは、「情けは人の為ならず」を信じて行なう行動(B1)。
「情けは人の為ならず」ということわざの本意は、「人に情けを掛けることは、その人のためにはならない」ということではなく、「施しというものは、巡り巡って自分に返ってくるものである」ということです。
 私はこれを心の底から信じています。すべての思考の根源はこれであり、これを実践しています。
 この行動のモチベーションは、「自分以外の人のため」ですが、結局は自分がハッピーになりたいからすることということが言えるでしょう。そういう意味では、私は打算的なのかもしれません。
 もう一つは、自分を消して、心の底から相手のために行なう行動です(B2)。モチベーションの源泉としては、これが最も純粋なのではないでしょうか。
 すべての行動は自分のためとしか考えていない人は、このB2のモチベーションを持つ人の存在を認められない人もいるかもしれません。でも、このタイプの人は、確かに存在します。私の周りには確実にB2タイプである人が二人います。

 われわれが行なう行動には、もちろん、自分のためでもあるし、自分以外(例えば組織)のためでもあることが多いです。会社で成果を残すことは、自分の報酬アップのためでもあるし、会社という組織のためでもあるし、お客さまもためでもあったりします。
 ただ、モチベーションの源泉を確認することは、人の本質を判断するうえではとても大事なことです。
 電車の中で妊婦さんがいたら席を譲ろうとします。その意識やモチベーションは、社会的責務を感じてなのか、周りの人から良く思われたくてしていることなのか、はたまた本当にその妊婦さんのことを思ってしていることなのか・・・。同じ行動をするにしても、人によってモチベーションの源泉は違いますし、その違いこそがその人の性格の本質だと思うのです。
 リーダーシップを執っている人のモチベーションの源泉を見極めることも大事でしょう。そして、そのリーダーに付いていっている人たちのモチベーションの源泉を見極めることも大事でしょう。
 人に付いていく人には、「本当に人望があって、この人と一緒に価値を創造していきたいし、成長していきたい」と思う人(Bの組織)と、「身の安全を確保してくれるから」というだけでリーダーに付いていっている人たちの集団の場合(Aの組織)があります。
 後者の場合は、「金の切れ目は縁の切れ目」とばかりに、リーダーが失墜した瞬間に、人は離れていき、組織は崩壊していくでしょう。
 私は、この後者のリーダーシップで成り立っている組織を、非常に危険なものに思えてならないのです。

ページトップ