【12.01.24】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.28)

売り上げではなく、利益を積み上げるホテルマネジメント


 年末から年明けにかけて、久しぶりに書籍編集の仕事をさせていただいています。
 オータパブリケイションズ時代は、年平均3冊くらい書籍や別冊を編集者として作っていました。ビジネススクール運営という仕事で独立をしてからも、この素敵な仕事をさせていただく幸運に恵まれるとは思いませんでした。
 書籍編集という仕事は、タスクチームみんなで一つの作品を創る仕事です。著者、装丁デザイナー、本文デザイナー、販売担当者、印刷会社などの担当者の意向をまとめ上げてタイムスケジュール通りに仕上げるのが編集者というプロデューサーの仕事なのですが、作品としてだけではなく、商品として売れるものを作らなければなりません。出版社と著者の目指す方向性が微妙に違ってきたりするのを調整するのも編集者の役割です。

 今回の著者はマスト・インターナショナル代表取締役の湯浅太氏。関西のホテル業界を代表する若手ホテリエとして、私が長年尊敬している方です。20代で総支配人を経験し、数々のホテル再生を果たしています。私よりも若い43歳にもかかわらず、見た目はものすごく貫禄があり、“親分”という風貌ながら、親しみのある人柄で、気配りの完璧なジェントルマンなのです。
 私がオータパブリケイションズ在籍中に、「総支配人養成講座のような連載をホテレスでやりませんか?」という話を、軽い気持ちで投げかけたら、私が独立した後に実現し、その連載は18月間続いて、昨年完結しました。その連載をベースに大幅に加筆修正をしてもらって、一冊にしたというわけです。


      2月下旬発売 オータパブリケイションズ刊 3800円(+税)

 今回、書籍を編集するにあたり、250ページ以上になる骨太の原稿を何度となく読み返し、湯浅さんの知識と経験とセンスに満ち溢れた「ホテルマネジメントの実践術」にいたく感心させられました。それは、派手で斬新な理論やアイデアというよりは、非常に泥臭く、緻密で地味な管理手法です。
 私の正直な感想は「GM(ゼネラルにマネジメントする人)は、ここまで広範囲にホテルマネジメントをするスキルが必要であり、マクロとミクロの視点で管理をしていかなければならないのか」ということでした。

 本書の中で一貫して訴えていることや、紹介していることは、

●売り上げを追うのではなく、利益を積み上げる
●ベンチマークの数字(アルバイトスタッフの人件費率は売り上げの○%など)
●GMが「やるべきこと」と「やってはいはいけない」こと
●宿泊、料飲、宴会、ブライダルなどの、ビジネスのスタンスと在り方
●独立系ホテルは、大手チェーンの手法を安易に取り入れてもうまくいかない
●削減ではなくコントロール、テクニックではなくメソッド

 といったことなのですが、面白いのが、独立系ホテルで 「やってはいけない」七カ条。これを紹介します。

   □ 大型ホテルのマネ
   □ 事業縮小
   □ 偏った経験しか持たない総支配人の配置
   □ どんぶり勘定と偏った経営
   □ グローバルスタンダードをむやみに当てはめる
   □ 安易なユニフォーム会計システムの導入
   □ 縦割り組織と業務の細分化

 なぜこれらの行為は駄目なのでしょうか。それは、ぜひ本書をお読みください。2月24日の宿屋塾で初売りします。


 ≪出版記念講演会≫ 2月24日@ビッグサイト(ホテレスショー)!

 【宿屋塾】大手チェーンに対抗する独立系ホテルの勝ち方
         〜売り上げではなく利益を積み上げるホテルマネジメント
      http://yadoyadaigaku.com/program/JK1205.html



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