【11.11.22】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.24)

スタンス一つで組織は変わり、気持ち一つで人は変わる


 埼玉県と茨城県で4軒のホテルを経営しているホテルグリーンコアが11月15日、社内コンペを開催しました。どういうコンペかというと、幸手(2ホテル合同)、白岡、土浦というホテルごとの3チームに分かれ、「朝食メニューの充実度」と「メイドさんたちによる合唱」を競い、総合得点で勝ち負けを決め、優勝チームには全員に「はとバスツアー」をプレゼントするというものでした。私は、審査員として参加しました。
 内容を説明すると長くなるので割愛しますが、とにかくみなさん一生懸命でした。自ホテルがどれだけ朝食に力を入れているかをプレゼンで力説し、メイドさんたちの合唱をホテルスタッフ全員で応援していました。そして、自分たちがどれだけ朝食メニューに力を入れているかを熱く語り(フロントスタッフが毎日食材を買い、夜勤スタッフが夜中に調理する、前日にいただいたお客さんのリクエストに応える、など)、全員で声をそろえて唄を歌っているメイドさんたちを見て、支配人が感極まって泣く。優勝ホテルの支配人は、最後、ぼろぼろでした。優勝チームは、勝利を心から喜び、僅差で敗れたチームは心から悔しがっていました。
 3チームとも、一体感のある素晴らしいチームでした。日頃のホテル運営も、全員が本気であたり、みなでホテルを盛り上げていきたい、お客さんに自ホテルを好きになってもらいたいと願いながら働いているのが伝わってきました。



 なぜ、そんなに頑張れるのか。その一つの理由は、スタッフみなさんが支配人のことが大好きだということです。大好きな支配人が喜ぶ顔が見たいという気持ちがあるのです。
 ホテルグリーンコアの3人の支配人は、本当に一生懸命にホテルをマネジメントし、本気で現場を愛しています。それはなぜか。経営者が支配人を愛しているからです。結果、支配人たちはスタッフを愛し、スタッフは愛されているから、お客さんを愛す。こういう連鎖が出来上っているのです。
 コンペの翌日、ホテルグリーンコアの金子祐子副社長から届いたお礼メールにはこんなことが書かれていました。
「プレゼンをした若いスタッフを優勝させたかったと言って泣いている支配人やスタッフを見て、私も涙をこらえるのに必死でした(実は会がスタートしてからずっと泣きそうで、でも泣き出したら止まらなくなりそうだったのでこらえるのに必死でした・・・)、はたから見たらマンガなんですけど・・・。でも、人の心を突き動かすものは、一生懸命な姿以外にないのかもしれません。今、うちは4店舗とも前年を上回る稼働を維持しています。現場はスタッフのものです。オーナーのものではありません。私にとって最も大事なテーマは『うちのような地方の小さなビジネスホテルに就職してくる人たちがどうすれば仕事にやりがいを持つことができるのか』です。スタッフがやりがいと誇りを持って働いてもらうこと。遠回りのようにみえても、結局それしかないと確信しています」


 ホテルグリーンコアのコンペを見て、「うまくいっている企業に共通する点」を、改めて確認しました。
 それは、「経営者や上層部が、『いやあ、うちのスタッフは本当によくやってくれるんです』って、口癖のように言っている」ことです。
 逆に、「うちのやつらは本当に使えねえ」と愚痴ばかり言っているマネジャーや経営者がいる企業は、間違いなくうまくいっていません。
 おそらく、一人ひとりの能力には、それほど大きな差異はないでしょう。能力を引き出し、組織力としてのパフォーマンスを高めるのはリーダーのスタンスなのです。つまり、企業経営はリーダーのスタンスでどちらに転ぶかが決まってしまうのです。

 人間にも同じことが言えます。どんな人にも調子のいい時と、何をやってもダメなときがあります。そして、人にも2タイプあります。

@どんなときもポジティブに考える人 
A愚痴ばかり言っている人

 @の人はつねに問題を自分が解決しようとし、Aの人は他人や環境のせいにします。そして、幸福度は明らかに@の人が高いのです。

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