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【11.07.31】「ホテルマネジメント雑学ノート」≪Vol.16≫
驚異的な発展を遂げる「マカオ」レポート
ホテレスの取材で、7月21日から25日まで、マカオ(MACAU、澳門)を訪れました。なんと25年ぶりの再訪です。
マカオの観光業界は絶好調でした。1999年に750万人だった観光客数は、2005年に1870万人と倍増。2010年には2500万人を突破。11年で3倍以上に増えたのです(マカオ政府統計局まとめ)。
なぜ、そこまで伸びているのでしょうか。その要因には大きく分けて3つあります。
一つは、カジノ。二つ目は、世界文化遺産、三つ目は、中国大陸の好景気です。
マカオのカジノ市場は、今年4月に205億700万マカオパタカ(約2078億円)と、前年同月比で44・6%増加。単月ベースでの過去最高を更新しました。ラスベガスサンズ社のベネシアン、MGM、Wynnといった米国系、ギャラクシーといった香港系の千室規模のカジノホテルが雨後の筍のように建設され、増え続けているためです。2010年通年のカジノ収入は前年比57・8%増の1883億パタカ(約2兆円)余り、すでにラスベガスの約4倍の規模にまで拡大しているのです。
2005年、マカオは、22の歴史的建造物と8カ所の広場が「マカオ歴史市街地区」として世界文化遺産に登録されました。これらが街中に点在しており、その世界遺産の上でマカオの人々が日常生活を送っているのです。作りモノではない日常がある世界文化遺産というとろこがマカオの最大の魅力です。
観光客が激増している最も大きな要因は、中国が渡航を解禁したことによって、大陸から観光客が押し寄せていることです。中国人は元来ギャンブル好きですし、またマカオは立地的にも日帰りできるという好条件にあるのです。マカオ訪問客のうち、中国人の比率は02年時点で30%前後でしたが、04年以降は約50%で推移。直近では60%近くまで上昇しています。
日本のインバウンド数が800万ほどであることを考えると、人口60万人ほどのマカオに年間2500万人という、日本の3倍もの人が訪れていることは、驚異的ですね。
マカオのホテルは、どこも寒いくらいに冷房が効いています。節電の日本から訪れると、なんと価値観が違うことかと驚きます。こんな資源の無駄遣いが、果たして長続きするのか。「一晩で何十億円という額をすってしまった」という億万長者の武勇伝も聞きましたが、バブルのころの日本の狂乱ぶりを連想させ、時代錯誤にも感じられました。
数年前にラスベガスも観光で行ったことがありますが、ラスベガスで受けた衝撃よりも、なぜかマカオで受けたショックのほうが大きいです。
「人類が、こんなもの作ってしまっていいのだろうか?」という不安にも似た疑問すら抱きます(なにせ、ホテルのエントランスから客室に戻ってまたエントランスに戻るまでに30分もかかることもあります。そのくらいばかでかいホテルばかりです)。
また一方で、シンガポールも香港も、中国大陸も、台湾も、インドも、アジア諸国の経済はどこもかしこも盛り上がっていますが、日本だけが低迷しています。日本人が、日本人のアイデンティティを誇りに思い、世界をリードするくらいの存在であるためにはどうすべきか。
それは、これまでのような経済規模や物質的な豊かさではないでしょう。違った豊かさを模索しないと世界から忘れ去られてしまう気がします。これからの日本や日本人のあるべき姿やライフスタイルを問い直すいい時期なのかもしれません。