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【11.04.26】ホテルマネジメント雑学ノート(Vol.9)
思考停止ワードを撲滅しよう
愛情を持って指導することと厳しく指導することは反比例しない
「ホテルはこうあるべきだ」
「こういうものなんだ」
「ホテルなんだから、このくらいのことはすべきだろう」
「そんなこと、考えてないで、黙って身体を動かせ!」
あなたは、このような発言をした覚えはないでしょうか。
ホテルに就職した若者、特に大学卒の若者がよく私に漏らすことが、これらの発言をされた経験です。自分はホテルや組織の向上のために改善案を提案しているのに、それを一蹴されたという経験です。
これは確かに凹みます。やる気をそがれる瞬間です。
一方で、ホテルの現場の人たちの気持ちも分かります。「なにも分からないくせに、なにを生意気な」という感情を持つのも当然でしょう。
ただ、思うに、こうした発言こそホテルの変革を妨げているのではないでしょうか。
そして、役に立ちたいと思っている新人のモチベーションを低下させることにもつながります。
たとえ、その新人が生意気でKYな人間であっても、一度はディスカッションをすべきではないでしょうか。提案の内容と、その新人の態度やKYさというのは別問題なのですから。
ディスカッションしたうえで、その提案が有意義なものであるか、ナンセンスなものであるかを決めるべきでしょう。仮に、新人の提案が採用されなかったとしても、建設的なディスカッションをすれば、納得できるものです。忙しい現場で議論をするというのは面倒でしょうが、この作業を面倒くさがらずにすることで組織は伸びるのです。
新しい風を無視し、決められたことを何も考えずに踏襲するという安楽を無意識に続けていることで、ホテルは思考停止状態になり、変革、進化をしない組織になってしまいます。避けるべきはそれだと思います。
先日、ベストセラー『社会人として必要なことはすべてディズニーランドで教わった』の著者として有名な香取貴信氏に宿屋塾で講演をしていただきました。
彼は、こんなエピソードを紹介してくれました。ディズニーランドのリーダー昇格を決める研修のときの話です。指導官は集まったリーダー候補者を前にこう質問しました。
「みなさんは、自分の仕事を愛していますか」
この質問に対し、手を挙げなかった人は、その場で退場させられたそうです。
そして、次にこう質問ました。
「あなたは、どんなことがあっても部下に愛を持って接することができますか」
これには残っている候補者全員が手を挙げたそうです。最初の質問はリーダーとして不可欠な資質としての試験であり、二つ目の質問は、合格者に覚悟を決めさせた質問でした。
もうひとつ、香取さんは部下を指導するときは、「後ろにその部下の両親がいることをイメージして行なえ」と教えられたそうです。
愛情こそすべてなのです。
ホテル専門学校の学生が半年間のホテル実習を終えて学校に帰ってきました。
ある学生が私に語ってくれました。
「コーヒーショップで厳しく指導を受けました。毎日、罵声を浴びせられるほどでした。あまりの厳しさに何度もその場で帰ってやろうと思いました。実習最終日、先輩全員のところに行って『今日で最後です。お世話になりました』と頭を下げたところ、最も厳しかった先輩が、『おまえ、よく耐えたな。お疲れさん』と肩を叩いてくれました。感動して涙が出ました。私は、このホテルに就職して、このコーヒーショップで働きたいです」
愛情を持って指導することと、厳しく指導することは、決して反比例するものではありません。愛情を持って厳しく指導するとき、部下や後輩は最も成長するのでしょう。
いまは、ホテルの現場に、たくさんの新人が配属されている時期でしょう。皆さんのところにも新人が来たと思います。ぜひとも、厳しく愛を持って指導してください。