【アカデミック講座】
第12回「観光立国を支えるDMOのあるべき姿~世界に学ぶ宿泊事業者主導の地域観光活性化」
講師:セントラルフロリダ大学ローゼン・
ホスピタリティ経営学部 准教授
一橋大学大学院商学研究科特任教授、
京都大学経営管理大学院客員准教授兼務 原忠之 氏
宿屋大学は、観光・ホスピタリティ関連分野の研究を産業界で活躍する方々に紹介することと目的として、「アカデミック講座」を開設しています。
産業界に役立つ研究をしている個性的な大学教授などを厳選して、開講しています。
第12回は、日本の観光業界のブレーン、原先生のご登壇です。原先生の通常の授業は日本での集中講義を含めて全て英語ですが、今回は日本語で行います。
DMOとは、 Destination Marketing Organization(デスティネーション・マーケテイング・オーガニゼーション)のことです(「M」がManagementのこともあります)。一言でいうと「観光地経営」を行う組織です。ここ数年、全国各地で注目される存在になりました。
20世紀の日本をけん引してきた製造業は21世紀に入り、その相対的国際競争力低下が顕著になりましたが、その落ち込みを補う形で外貨獲得のための新たな輸出産業として2003年、小泉首相は観光立国宣言をし、2008年には観光庁が設立されました。
現時点での日本の輸出総額は75兆円であり、最大品目である自動車は約11兆円です。モノの移動が伴わない貿易と言える訪日客の国内消費額は、現在4,5兆円ですが、政府は2030年までに15兆円にするという目標を掲げており、そうなると、自動車を抜いて、日本経済をけん引する最大の産業になります。名実ともに「観光立国」というわけです。
この未来を実現するには、訪日客が主要都市観光だけで終わらず、地方を訪問し、宿泊し、食事や文化アクティビティを楽しんで地域において消費をしてもらう仕組みが必要です。
つまり、日本全国津々浦々の地域に訪日客が訪れて消費し、経済が活性化することこそ、少子高齢化日本の未来を支えるシナリオなのです。そのけん引役としてDMOが注目されているのです。
ラグビーワールドカップ、東京オリンピックという好機が続きますが、その後8兆円から15 兆円、更に 20 兆円というインバウン ド年間観光消費額を実現するには、内閣府からの初期資金が途切れた後も、訪日客を地方に誘導するための持続可能なビジネスモデルが必要なのです。
原氏は、「DMOが日本中で上手く機能するな らば、観光立国数値目標はクリアできます」と語ります。ただし、そのためには、自治体主導ではなく、宿泊事業者を中心とした観光業事業者が主導で、DMOを設立・運営していく世界の成功例から学ぶべきと言います。
今回は、「日本版DMO」実現に向けて、 ファンディング(資金調達)、ガバナンス、マーケティング、人材育成という4つの重要な部分について、世界の最良なビジネスモデルを紹介いただきながら、真の意味での我が国の「観光立国実現」を考えたいと思います。
【こんな内容です】
●日本が観光を産業として奨励する目的
●日本人の観光消費と訪日客の観光消費は意味が全く違う
●観光という意味での日本のキャパシティ
●米国DMOの成功事例に学ぶ
●観光客開発税という名のホテル税
●DMO、MICE、IRの関係
●DMOのガバナンス
●DMOのマーケティング
●DMOの人材育成
●これからの宿泊事業者に望むこと
【こんな人におススメです!】
●ホテル・旅館の経営者
●ホテル・旅館の従事者
●地方の外貨獲得輸出産業であるインバウンド客誘致でリーダーシップを発揮したい人
●観光協会や旅行代理店の業務世界で通用するDMO運営の相違点を理解し、ビジネス機会に繋げたい人
●観光・ホスピタリティを学んでいる人
●観光が支える日本の未来に希望を見出したい人どなたでも
◆◇◆ アカデミック講座とは? ◆◇◆
最新の観光・ホスピタリティ関連分野の研究や学術界の現状を知りたい方に、各分野の研究領域を、コンパクトにまとめ、ご紹介することを目的とした内容です。短時間で理解する「観光・ホスピタリティ関連分野の研究」講座です。さらに、観光関連、ホスピタリティ・ビジネスの研究、本業界に携わる方々と、研究者の相互理解の場でもあります。講師は、観光・ホスピタリティ分野の研究者であり、その研究成果を体系的に語れる人です。ゆえに、講義は体系的であり、調査や統計データに基づいた知識と研究成果の提供を行ないます。さらに、「机上の空論」に終始することなく、物事の見方や捉え方、思考することの重要性をわかりやすくお伝えしていきます。
本講座は、株式会社 アプリ(本社:東京都新宿区新宿3-1-22 NSOビル4F
https://apptli.co.jp/)の賛同とご尽力により、開催するに至りました。 |
http://www.fuji.ac.jp/access/
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