【アカデミック講座】
第三回「観光業界における学生インターンシップの進め方 ~産学協同による人材育成の最良の橋渡し形とは」
講師:高崎経済大学 地域政策学部観光政策学科准教授
井門 隆夫氏
宿屋大学は、新しい講座プログラムのカテゴリーとして「アカデミック講座」を開設しました。
最新の観光・ホスピタリティ関連分野の研究や学術界の現状を紹介することと、観光・ホスピタリティ・ビジネスの研究者と本業界の実業に携わる方々のコミュニケーションの場づくりを目的としています。産業界に役立つ研究をしている個性的な大学教授などを厳選して、月一回開講していきます。
宿泊業界はいま、深刻な人材不足・人手不足です。売上・利益が伸びている一方で、それを現場運営で支える人材が圧倒的に不足しています。恒常的な多忙やストレスの増加は業界にとってよいことではありません。IT資本の蓄積や女性の活躍など労働環境を取り巻く仕組みの改革や、イノベーションによって労働生産性を高めていかない限り、解決は難しい。けれども、それはひとつの企業で解決できるものでなく、業界全体の中長期的な課題です。
そこで、短期的には、若い人材の採用と定着を促進していくことが観光産業として大切な取組みになってきます。しかし、かねてから日本の大学と実業界とのレリバンス(接続、接点)はシームレスとはいえず、学業成績の優秀な人材が、必ずしも実業界が欲する人材であるとも限らず、実業界においては、採用にかける手間と労力が多いという指摘もあります。
実業界で欲する人材は、主体性があり、行動持続力やコミュニケーション能力に長けた、いわゆるジェネリック・スキルの高い人材といわれます。Human Resourcesの分野では、卓越した行動特性を「コンピテンシー」と呼び、スキルの高い人材を可視化する指標として活用されています。一方、大学の成績はあくまで教室での学びである「リテラシー」を可視化するものであり、コンピテンシーは把握されてきませんでした。そのため、大学と企業とでは人材観に差異が生まれていたと考えられます。
近年、文部科学省、経済産業省とも、学生のジェネリック・スキルの養成を大学に求めるようになり、その手法としてインターンシップを推奨するようになりました。ただし、それはまだたんなる「企業への丸投げ」に近く、比較的余裕のある業界や企業でのみ受入れ可能という現状があります。つまり、インターンシップの方法論がまだ確立していないのです。
とはいえ、企業側も優秀な人材を確保したいと考えています。そこで大学と企業が協業し、「コンピテンシー」を共通の指標として、大学側は学生のコンピテンシーを伸ばし、企業側はコンピテンシーの高い学生に着目するため、インターンシップを協力して実施するといった活用方法があるのではないでしょうか。
本講座では、大学の観光政策学科が、観光分野をどのような視点でとらえ、観光業はやりがいを持って自分を成長させることのできる場だと動機づけを行っているか、その一端を紹介しつつ、人材育成にとっての「学生インターンシップの重要性」を、皆様と一緒に考えて参りたいと思います。
【こんな内容です】
●その人の行動特性を可視化する「コンピテンシー」を解説。
●インターンシップのあり方(体験よりコンピテンシー養成重視)を提案。
●インターンシップ期間中に学生のモチベーションはどう推移しているのか。
●インターンシップで高いモチベーションを保つ学生のコンピテンシーは!?
●コンピテンシーの測定ツールであるPROGを開発会社から詳しく紹介します。
●様々な観光系大学のPROG活用事例紹介。
【こんな人におススメです!】
●学生インターンシップのあり方や、内容に悩む新卒採用の人事担当者
●若い人材にどう接したらよいのか考えている管理職やグループリーダーの方
●効果的なインターンシップを行いたいと考えている学校教員
●観光業をめざし自分を成長させたいと考えている学生
●観光は可能性のある成長産業だと思っている観光業に関わる方々
◆◇◆ アカデミック講座とは? ◆◇◆
最新の観光・ホスピタリティ関連分野の研究や学術界の現状を知りたい方に、各分野の研究領域を、コンパクトにまとめ、ご紹介することを目的とした内容です。短時間で理解する「観光・ホスピタリティ関連分野の研究」講座です。さらに、観光関連、ホスピタリティ・ビジネスの研究、本業界に携わる方々と、研究者の相互理解の場でもあります。講師は、観光・ホスピタリティ分野の研究者であり、その研究成果を体系的に語れる人です。ゆえに、講義は体系的であり、調査や統計データに基づいた知識と研究成果の提供を行ないます。さらに、「机上の空論」に終始することなく、物事の見方や捉え方、思考することの重要性をわかりやすくお伝えしていきます。
本講座は、株式会社 アプリ(本社:東京都新宿区新宿3-1-22 NSOビル4F
https://apptli.co.jp/)の賛同とご尽力により、開催するに至りました。 |
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