本研究会にてご講演を依頼した演者の皆様は、下記3つのいずれかのタイプの方です。
●その講演者自身が健全経営できる優れたホテル・旅館の経営者
●優れたホテル・旅館の経営者を多く知っている業界の識者
●宿泊業に関係なく経営の本質や経営哲学を語れる講演者
そして、共通して語っていただきたいことは、
①ご自身の紹介・これまでの歩み
②優れた経営者(もしくは宿泊事業経営者)に必要な資質とはなにか
③ポストコロナの環境変化をどうみるか、そしてどう対応すべきか
の3つです。
その上で、各講演者に主催者として期待している内容やメッセージがありますので、そちらを下記に明記します。
●佐野 智之氏
佐野さんは、赤字続きだったリゾートホテルを9年間で繁盛ホテルにされました。総支配人として就任されてからコツコツと企業風土を整え、離職を激減させ、スタッフがお客さまに寄り添えるおもてなしを思う存分できる職場環境をつくり、顧客満足度も高めていきました(口コミスコアは、どのチャネルでも「4.6」以上)。商品力、価値向上を目指し、稼働率とADRの両方を上げました。ウエディングの件数や売上額も毎年更新しています。このような健全な繫盛ホテルができた理由のひとつには、「お互いを尊重・尊敬して、高め合う精神を全員が大切にしている」ということがあります。このような社風を築かれた佐野さんに、宿経営の哲学や、繫盛ホテルへのプロセスをお聞きしたいと思います。
●澤田 竜次氏
澤田さんは、不動産業界およびホテル・レジャー業界を中心に、コンサルティングおよびアドバイザリーサービスを提供してこられた大人気コンサルタントです。長年ホテル業界を俯瞰してこられ、数多くの宿泊施設経営者のサポートをされてきています。宿経営者に伝えたいメッセージもたくさんお持ちです。アフターコロナのマーケット環境分析、事業者が解くべき課題・業界課題とはなにか、そして、強いホテル事業者の条件とはといったお話をお伝えいただきます。
●井口 智裕氏
2023年11月、私(近藤)は、井口さんが創り、経営・運営している旅館「ryugon」を訪問し、大きな衝撃を受けました。「ryugon」ほど、膨大な時間とプロフェッショナルな人材と思想の深堀りをして創られた宿を知らなかったからです。井口さんは、「地域はOSであり、宿はアプリケーションである」との考えから、2008年に行政を頼らずに自ら動き、雪国の暮らし、習慣、文化を観光魅力として伝える地域連携DMO「雪国観光圏」を設立されました。そして、「地域のショールーム」として「ryugon」を2019年に開業されました。「雪国観光圏」の魅力を満載したショールーム、日本一の豪雪地帯の風土を体感してもらうための宿です。井口さんには、地域と宿のあるべき姿、地域と宿双方の魅力の高め方、宿経営の哲学をお聞きしたいと思います。
●橘田 大輔氏
橘田さんは、元・ホテルパーソン。舞浜のシェラトンや恵比寿のウェスティンホテルの現場で働かれた後に、米コーネル大学ホテル経営学部に留学されています。帰国後は金融業界に移られましたが、ホテルへの愛情や想いをずっと持ち続けています。2021年には、近鉄グループの8ホテルに出資、そのほかいくつかのホテルを買収していますが、どれも、みるみるホワイトホテルに変身させています。今回の講演では、グローバルな金融業界から見た日本の観光・宿泊マーケットについて、そしてグローバルな経営者と比較して日本の経営者に足りないものなどをお聞きしたいと思います。
●吉成 太一氏
吉成さんは、生き方や存在そのものが型破り。考え方も実に独特です。総支配人を務めた「瀬戸内リトリート青凪」では、ほかのどんな総支配人が頑張っても黒字化できなかったこのラグジュアリーホテルを繁盛ホテルに変身させましたが(そのプロセスは、『惚れるホテルを創る 愛されるホテリエたち』にて詳述)、その手法も実に型破りです。従来のホテル経営、マネジメント手法でもなく、ビジネススクールで伝えるセオリーでもない、独自の経営マネジメント手法は、「そんなバカな」と感じますが、すべてを聞くと「なるほど!」とうなるものばかりです。今回の講演では、そんな型破りな、でも理屈や時流にあった宿経営の考え方を披露いただこうと思います。
●葛山 智子氏
本研究会にてご講演を依頼した演者の皆様は、「自身が健全経営できる優れたホテル・旅館の経営者」、「優れたホテル・旅館の経営者を多く知っている業界の識者」、そして「宿泊業に関係なく経営の本質や経営哲学を語れる講演者」の3つのいずれかのタイプの方ですが、葛山さんは、3つ目のタイプの演者としてご依頼いたしました。私(近藤)は、10年ほど前に、ビジネススクール「グロービス」に一年間通いましたが、葛山さんは、その際に受講した「経営戦略&マーケティング」の講師でした。葛山さんは、その後すぐにシンガポールに赴任され、グロービスアジアキャンパスの代表になられました。今回の講演では、海外でビジネスをされている葛山さんに、「グローバルから見た日本の現状」、「優れた経営者(もしくは宿泊事業経営者)に必要な資質とはなにか」、「ポストコロナの環境変化をどうみるか、そしてどう対応すべきか」といったことを語っていただきたいと思っています。
●柴田 励司氏
柴田さんは、数々の企業を再生してきた、日本を代表するプロ経営者ですが、元は京王プラザホテルのホテルマンでした。その後、マーサージャパンの代表、カルチュア・コンビニエンス・クラブのCOOなどの要職を務められたり、執筆や講演、研修などを通じて人材育成に尽力されていますが、いまでも宿泊業界への愛情と思いをお持ちです。そんな柴田さんに、「識者から見た日本の観光・宿泊産業の現状(特に人材不足問題)」、「優れた経営者(もしくは宿泊事業経営者)に必要な資質とはなにか」、「ポストコロナの環境変化をどうみるか、そしてどう対応すべきか」といったことを語っていただきたいと思っています。
●龍崎 翔子氏
龍崎翔子さんは、小学生のころから「将来は、ホテル経営者になる」と夢見て、東京大学に入学と同時にホテル経営をスタートさせました。「ホテルは単なる寝床じゃない」「ホテルはライフスタイルの試着室」という思いで、新しいコンセプトのホテルを次々とプロデュースしています。1996年生まれ、Z世代のホテル経営者の旗手として次代のホテルの在り方を世に発信し続けています。印象は「クールな才女」ですが、実はとても謙虚でチャーミングな方。そんな龍崎さんに、これからのホテルの在り方、価値創造、そしてご自身はホテルを通してどんな社会を創っていきたいかをお聞きします。第一回「ホテル経営研究会」メンバーのアンケートで多くのメンバーから「もう一度聴きたい」とのリクエストがあり再登場を依頼しました。
●萩原 聡彦氏
萩原さんは、母方の実家である百楽荘を、様々な施策によって繁盛旅館に変えました。WEB販売による客単価アップ、財務改善の戦略、メディア戦略、100年ビジョンの設定、人材採用戦略などなど、奇跡の復活を遂げた施策の数々や、プロセスをお聞きしたいと思います。
●東 徹氏
東徹先生は、立教大学観光学部の人気教授であり、観光マーケティングの第一人者です。観光を学ぶ学生と、日本酒をこよなく愛する観光学者。今回は、宿泊施設経営、観光による地域振興の現状や課題やあるべき姿を、マーケティング学者の視点で語っていただこうと思います。東先生の豊富な知識、観光業界への愛のあるサゼッションを、熱く語っていただこうと思います。