ホテル業界には「自分の家をつくるように、自分自身の思考や趣味でホテル創りをしてしまう人」、「運営経験が長いためか、現場主義的にホテルを構想してしまう人」が多くいます。残念ながら、そのような創り方をしてしまうと独りよがりの施設になってしまったり、市場ニーズに合致しなかったり、コンセプトが見えないホテルになってしまいます。
本ゼミでは、ホテルづくりを取り巻く「不動産とホスピタリティ」の知見を、マクロ・ミクロの両側面から学び、思考します。ずっと愛され支持されるホテル創りができるプロデューサー、経営者のマインドセット(在り方や、重要視すべき価値観)を整えていくことを目的とします。本ゼミはリアル、オンライン、そしてフィールドワークを含む全12回で構成、各講義では前半に建築の話を、後半にホテル事業の話を行い、ハード・ソフト・ヒューマンという、ホテルを形成する価値について考えていきます。また、2回開催するフィールドワークでは、多様な宿泊施設の見学、アクティビティの体験、経営者の講和などを聞き、座学での学びをより深めていただきます。さらに、 2回にわたる演習授業では、「ホテルのビジネスモデルキャンバス」「ホテル建築設計演習」を行い、実際に事業者としてホテル開発を行うことを疑似体験し、座学で学んだ内容の実践の難しさ、自分自身に不足するスキルを考えていただきます。
数々の魅力的なホテルを、プロデューサー(プロマネ)として生み出してきた池村氏の経験、知見を余すことなくお伝えし、成熟した日本のホテル業界において、ずっと選ばれ続けるホテルや旅館の創り方を学べる唯一無二の骨太なプログラムです。
ホテルの在り方をマクロとミクロで多角的に思考し、自身が生み出すべきホテルの価値を定義します。
| タイトル |
内容 |
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産業概論 |
【ホテル概論】 ※課題:自己紹介(5分、スライドつき) |
・ゼミ参加の目標を打ち立てる 本講座を受けて、何者になりたいか? |
【産業論】 ※課題:気になる書籍、論文を探して発表 |
・産業と市場、法制度の枠組み PMを追体験してその役割を学ぶ |
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【ビジネスモデル論】 ※課題:研究課題の決定・発表 |
・不動産投資、開発の仕組み 発注者のやっていることを知ろう |
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ホテル創り |
【ホテル創りI】 ※課題:未定 |
・不動産開発のプロセス、ファイナンス ホテル開発の骨格をつくる |
【ホテル創りⅡ】 ※課題:未定 |
・建築プロジェクトにおける体制と工程 プロジェクト計画のつくり方とリスク |
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【ホテル創りIII 】 ※課題:未定 |
・ホテル開発プロセスの全体像 関係者を調整し、事業を進める手法 |
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【ホテル創りⅣ】 ※課題:未定 |
・ナラティブと共感 構想した価値を、顧客に伝えていく |
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フィールドワーク |
【フィールドワークI】 |
・最新ホテル事例 PMツールを使ってみる |
【フィールドワークⅡ】 |
・物語のあるホテル さまざまな役割を仮想体験してみる |
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アウトプット |
【ホテル演習I】 |
・事前課題|自社ホテルの現在を考える あるべきホテルの姿を描く |
【ホテル演習II】 |
・ホテルを実際に計画してみる 顧客にとっての価値を創造する |
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【総括】 ※第三回で決めたテーマについて発表 |
・あなたにとって「ホテル」とは? ホテルを創れるホテリエを目指す |
内容 |
日程 |
講演スタイル |
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Day1 |
ホテル概論 |
2025年2月8日(土)14時~17時 |
オフライン(東京都内) |
Day2 |
産業論 |
2025年2月22日(土)13時~15時 |
オンライン |
Day3 |
ビジネスモデル論 |
2025年3月8日(土)13時~15時 |
オンライン |
Day4 |
ホテル創りⅠ |
2025年3月22日(土)13時~15時 |
オンライン |
Day5 |
ホテル創りⅡ |
2025年4月5日(土)13時~15時 |
オンライン |
Day6 |
ホテル創りⅢ |
2025年4月19日(土)13時~15時 |
オンライン |
Day7 |
ホテル創りⅣ |
2025年5月10日(土)13時~15時 |
オンライン |
Day8 |
フィールドワークⅠ |
未定(GW明け〜6月中旬ごろ予定)一泊二日 |
課外活動 |
Day9 |
フィールドワークⅡ |
未定(6月中旬〜7月末までの間で予定)一泊二日 |
課外活動 |
Day10 |
ホテル演習Ⅰ |
2025年6月14日(土)13時~15時30分 |
オンライン |
Day11 |
ホテル演習Ⅱ |
2025年6月28日(土)13時~15時30分 |
オフライン(東京都内) |
Day12 |
総括(研究発表) |
2025年7月12日(土)14時~17時 |
オフライン(東京都内) |
※フィールドワーク以外は、録画をして後日YouTubeにアップしますので、やむを得ず欠席されても後から視聴することができます
※池村氏とのリテラタス社での無料相談も可能です(回数などは応相談)
プロフィール
(株)Literatus 代表取締役/CEO。
日本大学大学院修了。デザイン事務所、建築設計事務所、不動産会社、コンサルティングファーム、大手ゼネコン等でレジデンス、ホテル、商業施設や再開発などの企画・設計・建築マネジメントに従事。
2019年に(株)Literatusを設立、現在に至る。マリオットやヒルトン、フォーシーズンズホテルなどの外資系チェーン、プリンスホテル、ホテルグランバッハ等の国内系チェーン、旅館や独立系ホテル等の新築・リノベーションに関わるプロジェクトマネジメント実績多数。近年では高知県でhotel nansuiをプロデュース。
主な著書に村上実・池村友浩共著『ホテルの創り方』(クロスメディア)、監修『ホテルをつくるレシピ』(オータパブリケイションズ)、月刊ホテルレストラン連載『不動産とホスピタリティのあいだ』など。京都大学大学院「建築PM論」、立教大学大学院「ホテルデベロップメント」「ホテルアセットマネジメント」、国士舘大学「ホスピタリティマネジメント」など登壇多数。
事例:Hotel nansui(プロデュース・プロジェクトマネジメント支援)hotel nansui(以下、nansui)のリノベーション事業の特徴は1)坂本龍馬生誕の地という稀有なロケーション、2)既存建物のリノベーション、3)観光の成長期にある地方都市(人口30万人)の中心地、4)事業者自身が文化・歴史・経済といった宿泊業を取り巻く社会環境に強い意識を有していたこと、だ。
教科書的な経営コンサルの立場を取ればエコノミー対応の宿泊特化の方が合理的であったが、港屋マネジメント株式会社の井口泰氏とともに「高知の、もっとも高知らしい、坂本龍馬の生誕地にしか出来ないこと」を模索し、サスティナブルな高単価ホテルを計画した。
高級ホテルであればあるほど、ハード・ソフト・ヒューマンのどれかが際立っていることよりも全体的なバランスが求められる。昨今はデザイン性だけ、表層的なローカリティの表現だけで、ホテルとして差別化していくことは難しい。ホテルづくりにはデザインのためのデザインではなく、歴史・文化・風土や地域の人々の生活など全てが旅の価値であることを念頭に置き、丁寧なホテルのコンセプトづくりとソフトやサービスへの落とし込みが欠かせない。nansuiでは、龍馬をアイコン化するのではなく、この地に育った龍馬が見た景色、体験をどうコンセプトに昇華できるかを課題とした。そのために事業者チーム自体が坂本龍馬の生き様のように「marginal(境界の人)」であろうとする姿勢をとり、「ホテルはかくあらねばならない」という認知バイアスを徹底的に排除しつつ、nansuiだけのローカル体験が享受できる、ストーリー性のあるホテル創りを目指した。
近年の宿泊ゲストの嗜好は、より地域志向・文脈志向になっており、画一的ではなくよりパーソナライズされたサービスを求める傾向にある。nansuiの開発プロジェクトにおいて大切にしたことは「龍馬と向き合う・自分と向き合う、息遣いのある空間や動線」、「博物館的ではなく、美術館的な体験」、「ホテルとしてのファンダメンタルな価値をしっかりとつくる(古い建物だからといって不便、不快を残さない)」だ。龍馬生誕の地というすでに失われた文脈を再構築しつつ、商品化できるチームビルディングは事業にとって最も重要なことで、nansuiではコンペティションを主催し、蘆田暢人建築設計事務所・ようび・ホロニックをディレクションした。
デザイナーたちとはコンセプトについて深く議論を重ね、デザインをただのコンセプト表現とするのではなく、ゲストにとって「龍馬の息遣い」を感じるためのコミュニケーションにしていこうと考えてくれた。ハードに込められたコンセプトは、ホロニックそして港屋マネジメントの授業員たちに、nansuiとしての理念やありたい姿を理解してもらうための装置としてバトンタッチされ、サービスデザイン・接遇のあり方を考える礎となった。
項目 |
詳細 |
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【日程】 |
2025年2月~2025年7月 (12回) |
【定員】 |
8人(最少催行人員4人) |
【締め切り】 |
2025年1月31日 |
【受講費】 |
650,000円(税別) |
【会場】 |
ZOOMによるオンラインと都内にてオフライン開催 |