2025 ホテル経営者セミナー

変化に対応し続ける力
～ダーウィンの進化論の教えが問われる時代～

昨今、宿泊業界は、外的要因による急速な変化対応が強いられています。パンデミックや自然災害、さら には旅行スタイルの多様化など、ホテル経営者はこれまで以上に柔軟な姿勢が求められています。

その中で、 施設管理(ファシリティマネジメント)は、単なるハードの維持管理ではなく、「変化に対応し続ける力」として非常に重要です。本経営者セミナーの清水会長の講演タイトル「脱皮しない蛇は滅びる」が示すように、時代のニーズに合 わせたリノベーションや設備投資、さらには新しい価値の創造が、変化の激しい時代における「生き残りの鍵」となります。

ファシリティマネジメントは単なるハードの施設管理ではありません。ホテルの「コンセプト(価値)」と一貫しているべきです。コンセプトを顧客に提供するプラットフォームがファシリティ(ハード)であり、その施設を使って顧客に価値をお届けするのがオペレーション(ソフト)だからです。

我々の業界でもM＆A が活発化しており、チェーン化が進んでいます。そんななか、個人経営のホテルは、「大規模チェーンホテルとの差別化を図り、小規模ホテルが生き残るための課題」を常に模索してきました。そのポイントが「コンセプト」です。小規模だったり、独立系だったりすることの強みは、個性的なコンセプトを自由に創造することができることです。地元密着型の魅力の訴求、地元の素材を使った内装、地域の文化や歴史を発信するコンセプトルーム、地元スタッフならではのおもてなしなど、均一化せねばならないチェーンホテルにはできない価値提供の工夫こそが、顧客に選ばれる理由となります。

「生き残る種族は、強い種族でも、優秀な種族でもなく、変化対応できる種族である」とこんな言葉を、進化論を唱えたチャールズ・ダーウィンは残していますが、変化の時代は挑戦する覚悟が問われると同時に、チャンスでもあります。変化を恐れずに前向きに挑戦する姿勢が、これからのホテル経営者には求められ ています。本セミナーを通じて、参加者の皆さまが自社のコンセプトを見直し、ファシリティをそれに合わせていくヒントを得ていただければ幸いです。

(一社)全日本ホテル連盟　研修委員会担当業務常任理事
内山美樹