第9期MVP賞受賞者インタビュー

第九回「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」MVP賞、ホテルニューオータニの大谷春香さんが受賞

2020年4月17日~12月12 日の、約8カ月間に開催された宿屋大学主催、第九回「プロフェッショナルホテルマネジャー養成講座」(以下、PHM講座)のMVP賞に、ホテルニューオータニの大谷春香さんが選ばれた。本賞は、同講座の最終プレゼンテーション会において、「講義内容をフル活用して、経営者に向けた経営改善計画」を受講生全員が発表し、そのプレゼンテーションの内容、受講態度、成長度、クラスメイトからの評価などを審査員が点数化し、その合計得点で決められる。この度、最高得点を獲得し、MVP賞を受賞した大谷さんをインタビューした。
●取材・文/近藤寛和 

私が得た大きな雪だるまという宝物

Q PHM講座の修了、本当にお疲れ様でした。そして、MVP賞受賞、MRP賞(Most Raised Person、クラスを最も盛り上げた受講生に授ける賞)の二冠、おめでとうございます。まずは、今のお気持ちをお聞かせください。

最終日からまだ3日しか経っていないので、興奮冷めやらぬ状態です。達成感はもちろん味わっていますが、同時に喪失感もあります。「終わってしまった」という寂しさです。ですので、暇さえあればクラスメイトと一緒に撮った写真や最終プレゼンの資料や、寄せ書きを眺めては、大変だったけれど楽しかった8カ月間を思い出しています。


Q PHM講座を受講しようと考えたきっかけは。

私は二年ほど前に、米国コーネル大学ホテル経営学部のサマースクールに企業派遣で短期留学しました。コーネル大学で得たものは非常に貴重で、世界最高峰のホテルマネジメントを学び、最先端の情報を得られました。ですが、その学びを自社で直ぐに形にできない状況が続き、そこに葛藤を抱いていました。学びと実践をどうつないだらいいかを考えるためにも、昨年、宿屋塾(宿屋大学主催の勉強会)に通いました。その時に、「腰を据えてホテル経営やマネジメントを体系的に理解するタイミングではないですか?」と声をかけられたのがきっかけです。
そこから受講を決断するまでには、数カ月を要しました。不安と迷いが大きかったためです。PHM講座は、幹部社員や、すでに総支配人の方、経営者が受講するものだと思っていましたし、そもそも現場で働く私が「隔週土曜日の6時間という時間を捻出できるか」という問題がありましたので。そんな迷いのさなか、PHM講座を卒業してホテルGMになられた女性から「自分を成長させられるのは自分しかいない。ときにはわがままになることも必要です」という言葉をもらいました。いま私が一緒に働いているチームは、私の学びを応援してくれる人たちばかりだと確信してはいたものの、一人ひとりに「隔週土曜日、私、お休みをいただくことになるけれど、大丈夫?」と聞いてまわったんです。すると全員が「大丈夫です!」と背中を押してくれました。上司からは、「あなたがいないことで、若手スタッフたちが成長する機会を与えられるということもある。安心して行ってきなさい」と言ってくださって、決心がつきました。

Q 受講し始めたころは、いかがでしたか。

最初は、正直、「場違いなところに来ちゃった」と感じました。クラスの皆さん、立場も上ですし、考え方もしっかりされている方ばかりで、圧倒されました。劣等感をずっと抱えたまま8カ月間受講しました。ですが、劣等生だからこそ、みんなに追いつくために真剣に向き合えましたし、120%頑張ったつもりです。

PHM講座は、海外留学などでキャリアをストップせずに働きながら“筋金入りのホテリエ” に必要なことを体得していただくために、実は大変大きな負荷を意識的にかけています。8カ月間、大谷さんは、事前課題、事後課題、振り返りレポートなど、一切手を抜かずにやり遂げられました。有志だけで行なう勉強会も、幹事として最後まで開催されました。

私は、「やると決めたら、最後までやってみせる」がモットーですので、それを貫きました。幸い、コロナ感染禍の影響でお休みが例年より多かったので、まる一日休日を振り返りや課題に費やしたりすることができました。このときも「手を抜かず、必ず期限を守る」と心に決めていました。ただ、この自分との約束は8月に入って徐々に忙しくなってきたころには、かなり辛かったですが・・・(笑)。

「人にはそれぞれの正義がある」という一言に衝撃を受けた。

Q どの講座が最もためになりましたか。

すべての講座が素晴らしかったので選べないのですが、強いて選ぶとすると、「ロジカル・プレゼンテーション」です。自分の思考と行動がガラッと変わりましたので。「正論を語っても相手が納得しなければ動かすことはできない」、そして「人にはそれぞれの正義がある」という一言に衝撃を受けました。おかげで、自分の主張だけを訴えたり、すぐに行動に移したりすることが少なくなり、まずは一度足を止めて「考えるべき問いはなにか、あるべき姿はなにか」を考えるようになりました。頭の中には、学んだ「What-Where-Why-How」のフレームが常にあります。


Q PHMを受講する前と後で、自分はどう変わりましたか。

最終プレゼンテーションの準備をしながらひたすら考えていた問いが、まさにこの「自分はどう変わったか」だったのですが、集約すると「視座が一つ上がった」ことだと思います。視座が高まったので、今まで見えていなかったものが見えるようになりましたし、今まで見ようとしなかったものも見ようとするようになりました。そうして新しい発見が増えて、その上で考えて行動するようになったということは、自分の変化としては非常に大きいものでした。
また、クラスメイトや講師の方々をはじめ、本当に素晴らしい人たちと出会えことも生涯の宝物になりました。この先ホテル業界で働くうえで、何かあれば相談できますし、助け合える仲間だと思っています。

まるでよくできたお芝居を見終えた感覚。

Q 受講料43万円(税別)を個人負担して参加されました。それでも「費用対効果は非常に大きい」とおっしゃっていただいていますが、そう感じるのはどういう点でしょうか。

まず、一つ一つの講座の価値が、金額よりはるかに高いということがあります。43万円を17講座で割ると一講座25,000円強ですが、その倍以上の価値があると感じました。また、講座全体をトータルで見ても、実によくできていると実感します。まるでよくできたお芝居を見終えた感覚です。ビジネスリテラシーの部分から入り、ヒト・モノ・カネと続く一連の流れが最後にはすべて繋がってくる。一つひとつの講座のテーマは違うのに、後半になるとすべてが繋がっていく。17つの小さな雪だるまが出来上がるのではなく、講座が繰り返されるたびにひとつの雪だるまが徐々に大きくなっていき、最後にはとても大きな雪だるまが出来上がっていくというイメージです。しかも、その雪だるまは、自分の思考力が高まったこと、視座が高くなったこと、そして何物にも代えがたい仲間ができたことで、これからも大きくなるはずなんです。PHM講座は、8カ月間で17講座という構成ですが、私が得た「大きな雪だるまという宝物」は、これからも大きくなっていきます。PHM講座は、私のなかではずっと続いているものだと思っています。

Q 今期は17回中12回がオンライン講座になりましたが、その点はいかがでしたか。

確かに最初は少し抵抗がありましたが、講師の方々のファシリテーションが見事で、双方向の学びが楽しくでき、『オンラインでも、ここまで学びを深められるのか!』と驚きました。チャット機能を活用すると、意見が言いやすいのでリアルの対面研修以上に盛り上がりましたし、ネットにつないだPCで受講しているので、分からないこともすぐに検索できました。スライドもよく見えますし、講師の声もクリアに聞こえます。個人的に一番良かった点は、教室に行く移動時間が省けるので、ぎりぎりまで予習を行なう時間が持てたことです。メリットはとても大きいです。弊社の研修担当者にも、PHMのオンライン講座の手法をすぐに伝えて社内研修に取り入れたほどです。

Q 最後に、受講を検討している人にアドバイスをお願いします。

学びの楽しさや自分の成長を実感でき興奮しっぱなしの8カ月間ですが、同時に過酷です。受講前は、時間やお金、抱えている仕事の負担など、受講するかどうかを迷う理由はいくつも出てくると思います。しかし、8カ月後、走り切ったあとは、すべての迷いを取り除いてくれるだけの達成感と、生涯大切にしたい宝物を得られます。絶対に後悔しないです。100%環境が整うタイミングはいつになっても来ないでしょうから覚悟を決めて飛び込むことをお勧めします。

Address

〒169-0051
東京都新宿区西早稲田2-18-12(東京YMCA国際ホテル専門学校内)

TEL:050-5306-2953